2020年1月1日

正月早々、総力戦をあおる読め売れアジビラ屋元旦社説

 平成30年元旦眠っているカネは政策で動かせ」「政治に求められるのは、国民の不安を取り除くとともに、未来への展望を開くこと」

(追記2018/1/1)
-------------------------------

「石が流れて木の葉が沈む」異次元国家ニッポンの2014年初春である…

読売社説 1月1日付
日本浮上へ総力を結集せよ
◆「経済」と「中国」に万全の備えを
◆アベノミクスに試練
◆成長戦略は首相主導で
◆偶発的衝突の恐れも
◆地域の安定に寄与せよ
(2014年1月1日00時57分  読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20131231OYT1T0-0899.htm
http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20131231-118-OYT1T00899

デフレの海で溺れている日本を救い出し、上昇気流に乗せなければならない。


「デフレの海」「溺れるニッポン」、「上昇気流に乗るニッポン」…トンだ初夢だな(笑)。




(書きかけ)



平成26年1月1日 安倍内閣総理大臣 平成26年 年頭所感 - 首相官邸
http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement/2014/0101nentou.html

今あるのは、未来への希望です

>国民の皆さんには、その「力」がある。

>私は、国民の皆さんと共であれば、いかなる困難も乗り越えられる。
>「誇りある日本」を取り戻すことができる。

>新年のスタートにあたって、改めて、そう思います。



スピーチライターの「言葉のチカラ」、とトンだ思いつきと思いこみ…(笑)。




------------------------------






【MV】恋するフォーチュンクッキー / AKB48[公式] - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=dFf4AgBNR1E

AKB48 恋するフォーチュンクッキー 歌詞
http://j-lyric.net/artist/a04cb7c/l02e06a.html

“世界は愛で溢れているよ
 悲しい出来事忘れさせる
 明日は明日の風が吹くと思う

 未来はそんな悪くないよ

 人生捨てたもんじゃないよね
 あっと驚く奇跡が起きる
 あなたとどこかで愛し合える予感”



あちこちPV湧きまくりで、まるで平成版「ええじゃないか」の様相・・・




(2014年1月1日)

53 件のコメント:

  1. 「100年先の未来へ 真の改革が必要」 首相年頭所感
    2014.1.1 15:15

     安倍晋三首相は1日付で年頭所感を発表し、「誇りある日本」を取り戻すとして、「十年、百年先の日本の未来を切り拓いていくため、小手先の対応ではなく真の改革が必要だ」との決意を示した。

     その上で「積極的平和主義」の外交と、人づくりとなる教育再生の実行などを挙げ、憲法についても「時代の変化を捉えた改正に向けて国民的論議をさらに深めていくべきだ」とした。
    http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140101/plc14010115160008-n1.htm

    返信削除
  2. 足元を直視するのは怖い(笑)。
     

    返信削除
  3. 首相が年頭所感 経済再生と憲法改正に意欲
    1月1日 0時13分

    安倍総理大臣は、平成26年の年頭にあたって「所感」を発表し、デフレからの脱却と経済再生に引き続き、全力で取り組む決意を強調するとともに「『国のかたち』を表す憲法についても国民的な議論をさらに深めていくべきだ」として、憲法改正に向けた意欲を示しています。

    この中で安倍総理大臣は年頭にあたって、「『強い日本』を取り戻す戦いは始まったばかりだ。今後も長く厳しい道のりを緊張感を持って進んで行く覚悟を新たにしている」としています。
    そのうえで安倍総理大臣は、「20年近くにわたってこびりついた『デフレ』からの脱却はいまだ道半ばだ。『強い経済』を取り戻すべく、引き続き全力で取り組んでいく。景気回復の実感を全国津々浦々にまで必ずや届ける」として、デフレからの脱却と経済再生に引き続き全力で取り組む決意を強調しています。
    また、安倍総理大臣は、外交・安全保障政策について、「これまで以上に世界の平和と安定に積極的な役割を果たす。『積極的平和主義』こそがわが国が背負うべき『21世紀の看板』であると確信している」としています。
    そして、安倍総理大臣は「『国のかたち』を表す憲法についても、制定から68年になろうとする今、時代の変化を捉えた改正に向けて、国民的な議論をさらに深めていくべきだ」として、憲法改正に向けた意欲を示しています。
    さらに安倍総理大臣は、「東日本大震災から3度目の元旦を、避難生活の中で迎える方がいらっしゃる。次の元旦こそは、できるだけ多くの方に新たな住まいで迎えていただきたい。原発事故により避難生活を余儀なくされている福島の皆さんにも、1日も早く普通の生活に戻っていただきたい」として、震災復興を加速させる考えを示しています。
    http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140101/k10014219721000.html

    返信削除
  4. 平成26年1月1日 安倍内閣総理大臣 平成26年 年頭所感 - 首相官邸
    http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement/2014/0101nentou.html

     新年あけましておめでとうございます。

     1年前。

     遅れる復興、長引くデフレと経済の低迷、主権への相次ぐ挑発、そして、教育の危機。就任6日で迎えた元旦は、みなぎる意欲と使命感の一方で、重責への緊張感でいっぱいであったことを思い出します。

     それから1年。

     経済政策の大転換、TPP交渉への参加、震災復興の立て直し、オリンピック・パラリンピックの誘致、消費税。さらには、NSC(国家安全保障会議)と国家安全保障戦略を新たに創り、防衛大綱を見直す。「決断」と「行動」の365日は、長く厳しい道のりでありました。

     しかし、「強い日本」を取り戻す戦いは、始まったばかり。今後も、長く厳しい道のりを、緊張感を持って進んで行く覚悟を、一年の始まりにあたって、新たにしています。

     大震災から3度目の元旦となる本日も、避難生活の中で迎える方がまだまだいらっしゃいます。住宅再建を進め、次の元旦こそは、できるだけ多くの方に、新たな住まいで迎えていただきたい。東京電力福島第一原発の廃炉・汚染水対策を着実に進め、原発事故により避難生活を余儀なくされている福島の皆さんにも、一日も早く普通の生活に戻っていただきたい。

     その思いで、復興をさらに加速させてまいります。

     日本経済は、「三本の矢」により、マイナスからプラスへと大きく転換しました。しかし、20年近くにわたってこびりついた「デフレ」からの脱却は、いまだ道半ば。「強い経済」を取り戻すべく、引き続き、全力で取り組んでまいります。

     その目指すところは、頑張る人たちの雇用を拡大し、収入を増やすことです。景気回復の実感を、中小企業・小規模事業者の皆さんをはじめ、全国津々浦々にまで、必ずやお届けしてまいります。

     一年の計は、穀を樹うるに如くはなく、
     十年の計は、木を樹うるに如くはなく、
     終身の計は、人を樹うるに如くはなし。

     中国の春秋時代、名宰相と呼ばれた管仲の言葉です。

     目先の課題への対応も重要ですが、十年先、百年先の日本の未来を切り拓いていくことも、忘れてはなりません。そして、そのためには、小手先の対応ではなく、将来のあるべき姿を見定めた、真の改革が必要です。

     相互依存を深める世界において、内向きな発想では、もはや日本の平和を守ることはできません。日本が、これまで以上に、世界の平和と安定に積極的な役割を果たす。この「積極的平和主義」こそが、我が国が背負うべき「21世紀の看板」であると、私は確信いたします。

     国民の生命と財産、日本の領土・領海・領空は、断固として守り抜く。そのための基盤を整えてまいります。

     人づくりこそは、「終身の計」。日本に生まれたことに誇りを持ち、高い学力と豊かな人間性を兼ね備えた人材を育んでいく。そのための教育再生を、着実に実行してまいります。

     さらに、「国のかたち」を表す憲法についても、制定から68年になろうとする今、時代の変化を捉えた改正に向けて、国民的な議論をさらに深めていくべきであると考えています。

     昭和26年の元旦。振り返れば、日本は、いまだ占領下にありました。その年に結ばれた、サンフランシスコ講和条約と日米安全保障条約から、戦後「日本」の歩みが始まりました。

     そして、平成26年の元旦。現代の私たちもまた、日本の「新しい国づくり」に向けて、大きな一歩を踏み出すべき時です。

     戦後以来の大改革を進めるのは、簡単なことではないでしょう。もとより、困難は、承知の上です。

     しかし、今あるのは、未来への希望です。なぜなら、先の総選挙と昨年の参議院選挙において、国民の皆さんの力によって、政治が大きく変わったからです。そして、経済も変わりました。さらに、社会も変わりつつあります。

     国民の皆さんには、その「力」がある。私は、国民の皆さんと共であれば、いかなる困難も乗り越えられる。「誇りある日本」を取り戻すことができる。新年のスタートにあたって、改めて、そう思います。

     最後に、国民の皆さんの一層の御理解と御支援をお願い申し上げるとともに、本年が、皆さん一人ひとりにとって、実り多き素晴らしい一年となりますよう心よりお祈り申し上げます。

    平成26年1月1日
    内閣総理大臣 安倍晋三

    返信削除
  5. 【社説】日本浮上へ総力を結集せよ
    2014年1月1日0時57分 読売新聞

     ◆「経済」と「中国」に万全の備えを

     デフレの海で溺れている日本を救い出し、上昇気流に乗せなければならない。

     それには、安倍政権が政治の安定を維持し、首相の経済政策「アベノミクス」が成功を収めることが不可欠である。

     当面は、財政再建より経済成長を優先して日本経済を再生させ、税収を増やす道を選ぶべきだ。

     そのうえで、年金・医療などの社会保障、安全保障・危機管理、エネルギーなどの政策分野に投資し、中長期的に国力を上昇させていくことが肝要である。

     対外的には、アジア太平洋地域の安定が望ましい。

     中国が東シナ海とその上空で、強圧的な行動をエスカレートさせている。日本との間に偶発的衝突がいつあってもおかしくない、厳しい情勢が続く。

     日中両国の外交・防衛当局者による対話を重ねつつ、日米同盟の機能を高めることで、軍事的緊張を和らげねばならない。

     今年も「経済」と「中国」が焦点となろう。この内外のテーマに正面から立ち向かわずに、日本が浮上することはない。

     ◆アベノミクスに試練

     第2次安倍内閣が発足して1年が経過した。首相は昨年夏の参院選で衆参両院のねじれを解消し、自民党が突出する「1強多弱」体制を作り上げた。

     内閣支持率は一貫して高い。昨年の臨時国会での特定秘密保護法成立の混乱によって低下したが、なお50%台を維持している。

     安倍首相が、政策課題に優先順位をつけ、専ら「経済」に力を注いできたからにほかならない。

     アベノミクスは、3本の矢のうち、大胆な金融緩和と機動的な財政出動の2本の矢によって、日本の景気を持ち直し、株高・円安も実現するなど、一定の成果を上げている。日本の国際社会での存在感が増したことも確かだ。

     だが、日銀がデフレ克服の目標に掲げる「2%の物価上昇率」の実現への道筋は、なお不透明だ。景気を下支えする財政出動は持続力に限りがある。世論の支持も、景気回復への期待が先行し、必ずしも生活向上を実感できたからではない。

     今年は、アベノミクスの真価が問われる。

     首相の決断によって、4月に消費税率が5%から8%に引き上げられる。

     3月までは、耐久消費財などの「駆け込み需要」もあって、景気は回復基調で推移するだろう。だが、消費が冷え込む「反動減」が予想される4月以降は、景気が腰折れしかねない。

     政府は消費増税の影響を最小限に抑えるため、企業支援や公共事業を柱に国費で5・5兆円規模の経済対策を打ち出した。2014年度予算案も大きく膨らんだ。

     一方、家計への支援は物足りない。低所得者へ1回限りの「簡素な給付措置」が盛り込まれたが、食料品や新聞への軽減税率は導入が見送られた。政府・与党は10%への消費増税と同時導入を期して準備を進めてもらいたい。

     ◆成長戦略は首相主導で

     アベノミクスが雇用や賃上げに波及して、民間主導の持続的な経済成長を実現するには、成長戦略という3本目の矢が、的を射なければならない。

     だが、国家戦略特区で行う規制緩和のメニューが各府省や関係団体の抵抗で大幅に後退するなど、戦略の実効性は心もとない。

     首相が指導力を発揮し、民間活力を成長市場へ誘導することで、3本目の矢を加速させたい。

     最近の消費者物価の上昇は、輸入物価や電気料金の値上げが背景にあり、需要増を契機とした「良い物価上昇」とは言えない。業績を上げた企業が賃金を引き上げ、家計の収入増が消費を拡大する好循環を実現せねばならない。

     その成否のカギを握るのが、安価な電力の安定供給である。

     原子力発電所は全50基が停止している。電力不足を火力発電所のフル稼働で補うため、液化天然ガスなど輸入発電燃料の追加負担は1日100億円に上る。国富が資源国に余計に流出している。

     安全が確認できた原発を着実に再稼働させなければならない。

     気がかりなのは、原子力規制委員会による原発再稼働の審査が遅れていることだ。地元の了解などの手続きを考慮すれば、再稼働は早くて夏ごろになってしまう。

     エネルギー自給率の低い日本が今後、どう電力を確保していくかは、国家戦略にも直結する。

     安倍政権は1月中に閣議決定するエネルギー基本計画で、原発を「重要なベース電源」と位置づける。民主党政権の無責任な「原発ゼロ」路線と決別し、新増設に含みを残した点は支持したい。

     日本は世界有数の原子力技術を保持している。安全な次世代型原発の新増設は、人材維持・育成の観点からも必要だ。原発のインフラ輸出を成長にも生かしたい。

     政府は、電源として原子力、火力、太陽光発電など再生可能エネルギーをどう組み合わせるか、という議論を加速させるべきだ。

     ◆偶発的衝突の恐れも

     アジア太平洋地域では、中国が力による現状変更を試み、周辺国との摩擦を強めている。

     中国の習近平政権は、「中国の夢」と称する富国強兵路線を掲げて、西太平洋での艦隊・航空機演習や南シナ海の実効支配強化の動きを活発化させている。米軍への接近阻止・領域拒否(A2AD)戦略が実を結ぼうとしている。

     日本には、尖閣諸島周辺での公船常駐化と領海侵入、無人機の海上飛行を繰り返し、さらには尖閣を含む東シナ海上空に一方的に防空識別圏を設定した。

     中国は、識別圏内を飛行する全航空機に飛行計画の提出を求め、従わないなら「防御的緊急措置」の対象だと警告している。領空のごとく扱うのは極めて問題だ。

     このままでは日本が武力衝突の当事者になりかねない。自衛隊と中国軍との間に、不測の事態を回避する連絡メカニズムを構築することが急務となる。

     安倍首相の靖国神社参拝が、中国側に対話を拒む口実に使われることがあってはならない。

     日米同盟の深化によって、中国を牽制けんせいすることも重要だ。

     米国は尖閣諸島に対し、日米安保条約の対日防衛義務を定めた条項が適用される、という立場を変えていない。この条項が確実に機能するよう、米国との間で日本の役割も増強しなければならない。

     安倍政権が今年末に、日米防衛協力の指針(ガイドライン)を見直すのは時宜にかなっている。

     平時から有事へ、危機の拡大に応じた継ぎ目のない日米共同対処ができるよう、自衛隊の米軍支援の拡充、尖閣など離島防衛での米軍の関与拡大を打ち出したい。

     集団的自衛権の行使を可能にする憲法解釈の変更に踏み切ることも、避けて通れない。

     政府・自民党は、自衛のための「必要最小限の武力行使」に、集団的自衛権の行使も含める、とする新しい解釈を検討している。安全保障環境の悪化を受けて「必要最小限」の範囲を広げるのは、十分理解できる。

     集団的自衛権とともに、個別自衛権の議論も深めたい。例えば、偽装漁民による離島占拠という武力攻撃に至らない段階で、自衛隊は、どう対処するのか。こうした「マイナー自衛権」の武器使用の問題も詰めておく必要がある。

     ◆地域の安定に寄与せよ

     沖縄県の米軍普天間飛行場移設問題は、進展を見せている。仲井真弘多知事が名護市辺野古の公有水面埋め立てを承認したことで、1996年以来の日米間の懸案が解決に向かいつつある。

     辺野古への移設が実現すれば、沖縄の基地負担軽減と、抑止力の向上に大きく貢献するだろう。

     昨年12月に初めて決定された国家安全保障戦略は、中国に、地域の平和と安定、繁栄のために責任ある建設的役割を果たすよう促すとともに、力による現状変更の試みには、冷静かつ毅然きぜんとして対応していく、と記している。

     中国は、少子高齢化が進行し、労働生産人口が減少し始めた。経済成長はどう鈍化していくのか。米国のアジア重視はいつまで続くのか。日本の安全保障や経済にどう影響を与えるのか。

     情報を分析し、戦略的な対中政策を練り上げねばならない。

     中長期的には、日本が地域の安全保障に寄与することが肝要だ。米国や東南アジア諸国連合(ASEAN)などと連携し、中国に対し、国際社会の一員としての責任を自覚して行動するよう説得し続けることが日本の責務である。
    http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20131231-118-OYT1T00899
    http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20131231-OYT1T00899.htm
     

    返信削除
  6. [スキャナー]安倍内閣 地方選の年
    2014年1月1日3時3分 読売新聞

     2014年は、大型の国政選挙は予定されていないが、安倍内閣にとって重要な地方選挙が相次ぐ年となる。(政治部 豊川禎三)

    都知事選 舛添氏軸に

     ◆首都決戦

     猪瀬直樹・前東京都知事の辞職に伴う、注目の東京都知事選(1月23日告示、2月9日投開票)は、舛添要一元厚生労働相(65)の動向が注目される。舛添氏は「選挙の準備はできている。まだ誰が出るかわからないので、他の候補の動きを見極めて最終的に判断したい」と周囲に語るなど、出馬への意欲をにじませている。

     自民党が昨年12月に行った2度の都知事選世論調査では、いずれも舛添氏への支持がトップだった。安倍首相周辺や石破幹事長ら党幹部の間では、「2020年東京夏季五輪・パラリンピックの成否を握る都知事選は負けられない」(首相周辺)として、知名度の高い舛添氏を支援するべきだとの声が強まっている。公明党も舛添氏との関係は良好だ。

     自民党東京都連(会長・石原伸晃環境相)は12月31日、党本部で幹部会議を開き、1月10日前後に候補者を絞り込む方針を確認した。

     ただ、自民党参院議員だった舛添氏には、同党が野党に転落した後の10年4月に離党届を提出し、除名処分となった経緯がある。

     自民党内には「一番厳しい時期に党を見捨てた人物だ」との批判が根強く残っており、特に元自民党参院議員会長で、政界引退後も党内に隠然とした力を持つ青木幹雄・元官房長官や、当時総裁だった谷垣禎一法相らに、舛添氏への拒否感情が強いと言われている。そうした“党内世論”対策のためにも、党本部は4、5両日に3度目の世論調査を行う予定だ。

     一方、民主党は海江田代表が著名なジャーナリストらに水面下で出馬を打診しているが、党勢の低迷もあり、候補者の絞り込みには至っていない。民主党内では与党との相乗り論も残っており、12月31日の同党東京都連の会合でも、「舛添氏が適任」との声も出た。

     すでに立候補を表明しているのは、前日本弁護士連合会長の宇都宮健児氏(67)だけだ。都知事選は告示日直前に出馬表明して話題を集める「後出しじゃんけん」の候補が勝つケースが目立つため、告示日直前まで、調整が続きそうだ。

    名護市長選 普天間、日米関係影響も

     1月19日投開票の沖縄県名護市長選は、米軍普天間飛行場の移設先である名護市辺野古を抱えることから、日米関係にまで影響を与えかねない選挙となる。

     自民党は移設推進派の前同党県議・末松文信氏(65)に候補を一本化した。移設に反対する現職・稲嶺進氏(68)との一騎打ちとなる公算だ。政府は1月から辺野古沿岸部での代替施設建設に向けた調査や設計に着手する方針だが、稲嶺氏が再選されれば激しい抵抗活動も予想される。

     12月には沖縄県知事が任期満了を迎える。仲井真弘多ひろかず知事の去就が注目される。

     ◆消費税選挙に?

     医療グループ「徳洲会」の公職選挙法違反事件で自民党を離党した徳田毅衆院議員(鹿児島2区)が、3月15日までに連座制の適用で失職したり、自発的に辞職したりした場合、4月27日に衆院鹿児島2区補選が行われる。4月は消費税率が8%に引き上げられることから、政府・与党内には「消費税が争点になりかねない4月補選は避けたい」(自民党幹部)との声が強い。
    http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20140101-118-OYTPT00034
     

    返信削除
  7. 進歩と混迷…この先にあるもの
    2014年1月1日3時1分 読売新聞

     『われはロボット』などで知られる米のSF作家アイザック・アシモフ(1920~92年)は50年前、「二〇一四年の世界博覧会」と題する未来生活予測を残していた。科学技術による前向きな進歩を信じていた1960年代発の“予言”と、ベルリンの壁崩壊や3・11を経て現実にやって来てしまった2014年の混迷。二つを照らし合わせることで何が見えてくるのか。あるいは、この先の世界へ何を託せるのか。アシモフの夢見た年の初めに、識者に考えてもらった。

    2014年 アシモフの未来生活…SF御三家、科学解説書も

     アシモフはSF御三家の一人であるとともにボストン大の生化学者で、啓蒙けいもう的な科学解説書も数多く執筆した。「二〇一四年の世界博覧会」は1964年8月、ニューヨーク・タイムズ紙初出。『生命と非生命のあいだ』(ハヤカワ文庫、品切れ=原著1967年刊)の第四部「未来の生活」にも収められている。

     64~65年のニューヨーク世界博覧会にちなみ、2014年に世界博覧会が開かれたらという仮定の下に50年後を描き出す。家事用ロボットの登場、3次元映画、壁面スクリーンのテレビ、静止衛星で地球上の誰とも可能な通信など、多少のズレはあるが、的中か実現しつつある技術が少なくない。

     人工照明の地下都市や空中を移動する自動制御車も予測。宇宙開発では月面基地の実現は外したが、火星への無人宇宙船の着陸は言い当てた。エネルギー面では、原子力や太陽エネルギー発電所が普及し試験的な核融合炉も実現するとした。

     アシモフは小説でもロボット工学の3原則を生んだロボットもののほか、宇宙未来史「ファウンデーション」シリーズで、人類の未来を数学的に予測する「心理歴史学」を発案している。(文化部 佐藤憲一)

    有限の世界で思考深まる…加藤典洋さん(文芸評論家)

     アシモフは、未来を無限の可能性が広がっているものとして描いた。技術革新によってあれもこれもできるようになる、「前へ前へ」と。今読むと息苦しさを感じてしまう。

     米国が月面着陸を成し遂げた1960年代後半、人類の「膨張」は絶頂に達し、科学万能主義に彩られた未来予測が流行した。

     アシモフが危惧した世界人口の激増は今も続いているが、増加率で見ると、60年代後半をピークに減少に転じたと社会学者の見田宗介は分析している。爆発的な成長は以後、勢いを緩め、72年のローマクラブの報告「成長の限界」が資源の枯渇や環境破壊による破局を警告すると、人々は衝撃を受けた。

     この頃から、世界は「有限」の時代に入ったといえるのではないか。さらに、東日本大震災は、様々な「限界」をよりはっきりとした形で私たちに突きつけた。

     有限の時代を生きるとは、「できないこと」と向き合うことにほかならない。従来の価値観からすれば後退でしかなく、この先くすんだ未来しか描けないと悲観する人もいるかもしれない。

     しかし、「できない」こととの出会いを、「してもしなくてもよい」自由、「しないことができる」力の獲得ととらえれば、どうか。新たな豊かさや明るさが見えはしないだろうか。

     各国がしのぎを削った宇宙開発も、私たちは「人間は月に行けたけど、火星までは無理かな」ぐらいの感覚でいる。あるいは90年代初頭のバブル期、学生たちは1人1台、みな車でゼミ合宿に来たものだが、今そういう学生はいない。

     彼らは車を買ったり借りたりすることができ、実際そうする者もいるが、なければないでいいと考える。私たちの中にはすでに、こうした新たな価値観や感覚が生まれている。

     宮沢賢治の最晩年の詩「眼にて云いふ」に、こんな一節がある。

     <あなたの方からみたらずゐぶんさんたんたるけしきでせうが/わたくしから見えるのは/やっぱりきれいな青ぞらと/すきとほった風ばかりです>

     希望がなければ人間は生きられない。私はこれまで過去について考えを巡らせてきたが、今こそ、新たな価値観の上に立った未来構想が必要だと感じる。有限の世界に放り込まれることで、人間の思考はより深く、強くなる。(聞き手・文化部 山田恵美)

    人間の存在価値が変わる…石黒浩さん(ロボット工学者)

     車の自動運転ができるようになるなど、アシモフの予測はよく当たっている。だが、当時は人に比べ機械が圧倒的に劣っており、研究者の間では技術革新を重ねればできると、わりと簡単に予測できたものが多そうだ。

     一方、現在の技術発展はかつてと違い、社会構造そのものを変えている。例えば、スマートフォンで人間関係のつながり方が変わり、バーチャル(仮想)世界だけで生きている人まで出てきた。今や商取引もネットを無視しては考えられない。技術によって、肉体で定義されていた人間が、機械と融合するものになった。義足のランナーがオリンピックに出て、知能を補うスマートフォンをみんなが持ち歩いてもいる。

     遺伝子レベルでの進化とは違うが、これも人間の進化だ。技術発展による進化は止められない。人よりいいものを作り、有利に物々交換をするのが経済の原則。さらに可能性を突き詰めたいという欲は、人間が生きていく意味にほかならない。

     ただ、技術の進歩により人の仕事は、肉体労働だけでなく知能労働まで機械に置き換えられるだろう。仕事を機械に奪われた人は存在価値がないのか。人間の存在の意味は、今後変わってくるように思う。

     ロボットを開発していると、時に人間の単純さを考えさせられることもある。ものを見て何かを感じ、行動するだけ。何の存在価値があるのだろうとも思う。アンドロイドを作れば、表面的にも簡単に人間らしくなる。ロボットは人間を映し出す鏡で、自分にとってのロボット開発は、人間を知ることにほかならない。

     50年後をアシモフ流に予測するなら、再生医療や人工知能などの技術がかなり進むだろう。ヒトのクローンも技術的にはできるはずだ。ただ、そうなれば出産形態は変わり、人工知能でほとんどの人間よりコンピューターの方が仕事を優秀にこなす。技術が人間を凌駕りょうがし、人間の存在価値はますます疑問視される。

     技術を進歩させれば単純に豊かになれると思っていたら、自分たちの肉体のあり方や、社会の構造までが変わりだしたのが現代。現に、技術発展で暇になるはずが、無駄なものに振り回されどんどん忙しくなっている。これからは自らが何であるかを考えることがより重要になる。そしてそれこそが人間の真の存在価値であると思える。
    (聞き手・文化部 小林佑基)
    http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20131231-118-OYTPT00544
     

    返信削除
  8. 大瀧詠一さん急死…65歳「君は天然色」「風立ちぬ」
    2014年1月1日3時3分 読売新聞

     「君は天然色」「幸せな結末」などのヒット曲で知られるミュージシャンの大瀧詠一(おおたき・えいいち、本名=大瀧榮一)さんが12月30日、解離性動脈瘤りゅうのため死去した。65歳。

     警視庁などによると、同日午後5時半頃、東京都瑞穂町の自宅でリンゴを食べていて倒れ、青梅市内の病院に運ばれたが、約1時間半後に死亡した。

     岩手県出身。1970年に細野晴臣さん、松本隆さん、鈴木茂さんと組んだバンド「はっぴいえんど」でデビュー。同バンドは日本語ロックの先駆けとされ、後進に大きな影響を与えた。

     その後、プロデューサーやソロアーティストとして活躍。81年には「君は天然色」がヒット。同曲を収録したアルバム「A LONG VACATION」(日本レコード大賞ベスト・アルバム賞)はミリオンセラーに。97年にはテレビドラマの主題歌「幸せな結末」がヒットした。作曲家としても、松田聖子さん「風立ちぬ」、小林旭さん「熱き心に」を提供。海外のポップスから日本の歌謡曲まで幅広い知識を持ち、しゃれた作風で知られた。

     ミュージシャン・細野晴臣さんの話「大事な音楽家を失ってしまった。残念にも程がある。彼の中に詰まっていたポップスの宝庫はどこに行くんでしょうか」
    http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20140101-118-OYTPT00043

    返信削除
  9. 「君は天然色」大瀧詠一さん死去…65歳
    2014年1月1日11時42分 読売新聞

     「君は天然色」「幸せな結末」などのヒット曲で知られるミュージシャンの大瀧詠一(おおたき・えいいち、本名=大瀧榮一)さんが30日、解離性動脈瘤りゅうのため死去した。65歳。

     警視庁などによると、同日午後5時半頃、東京都瑞穂町の自宅でリンゴを食べていて倒れ、青梅市内の病院に運ばれたが、約1時間半後に死亡した。

     岩手県出身。1970年に細野晴臣さん、松本隆さん、鈴木茂さんと組んだバンド「はっぴいえんど」でデビュー。同バンドは日本語ロックの先駆けとされ、後進に大きな影響を与えた。

     その後、プロデューサーやソロアーティストとして活躍。81年には「君は天然色」がヒット。同曲を収録したアルバム「A LONG VACATION」(日本レコード大賞ベスト・アルバム賞)はミリオンセラーに。97年にはテレビドラマの主題歌「幸せな結末」がヒットした。作曲家としても、松田聖子さん「風立ちぬ」、小林旭さん「熱き心に」を提供。海外のポップスから日本の歌謡曲まで幅広い知識を持ち、しゃれた作風で知られた。
    http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20131231-118-OYT1T00404
     

    返信削除
  10. ミュージシャンの大滝詠一さんが死去
    12月31日 17時19分

    アルバム「A LONG VACATION」などのヒットで知られるミュージシャンの大滝詠一さんが、30日、解離性動脈りゅうのため亡くなりました。
    65歳でした。

    大滝詠一さんは岩手県出身で、昭和40年代に細野晴臣さんらとバンド「はっぴいえんど」を結成し、日本のロックミュージックの先駆けとして大きな影響を与えました。
    昭和48年の解散後も、山下達郎さんや大貫妙子さんが所属していたバンド「シュガーベイブ」をプロデュースして話題を集めました。
    また、昭和56年に発表した大滝さんのアルバム「A LONG VACATION」や「EACH TIME」などは、洗練されたメロディーが当時の若者文化や風俗を象徴する大ヒットとなりました。
    大滝さんは、ほかにも松田聖子さんの「風立ちぬ」や、小林旭さんの「熱き心に」、それに森進一さんの「冬のリヴィエラ」などの作曲で知られたほか、CMソングを多数手がけたり、平成9年には13年ぶりのオリジナル曲、「幸せな結末」を発表するなど活躍を続けました。
    関係者によりますと、大滝さんは30日午後、東京・瑞穂町の自宅で果物を食べていたところ急に倒れ病院に運ばれましたが、解離性動脈りゅうのため亡くなったということです。

    佐野元春さん「大きな星を失った」

    歌手の佐野元春さんは、自身のホームページで大滝詠一さんが亡くなったことについて、「日本の音楽界はひとつの大きな星を失った。でもその星は空に昇って、ちょうど北極星のように僕らを照らす存在となった。大滝さん、ありがとう。ご冥福をお祈りいたします」というコメントを発表しました。

    森進一さん「才能をたくさん持っていた方」

    大滝詠一さんが作曲した「冬のリヴィエラ」を歌った歌手の森進一さんは、「レコーディングしたとき『絶対に売れるよ』と断言してくれて、すごい人だなと思いました。4、5年前に偶然電話があり、とてもお元気な様子だったので本当に驚いています。冬のリヴィエラは、聴くと誰もが大滝さんの曲だと言うほど代表的なメロディーでした。突然のことだったので、ご本人も思ってもみなかったことだと思いますが、いろんな才能をたくさん持っていた方で、本当に残念です」と話していました。
    http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131231/k10014215111000.html

    返信削除
  11. 大滝さん 被災地に「With Love Always」
    12月31日 17時50分

    亡くなったミュージシャンの大滝詠一さんは岩手県の出身で、釜石市の旧釜石南高校に通っていました。
    震災の津波で夫を亡くした同級生に「With Love Always」ということばを添えてCDを送り、励ましていたということです。

    大滝さんの高校時代の同級生で、東日本大震災で被災し、現在、釜石市の仮設店舗で婦人服店を営んでいる吉田幾子さん(65)は、「寡黙だったが型にはまらない楽しい人で、文化祭などでは同級生と組んだバンドで活躍していました」と、高校時代の大滝さんを振り返りました。
    吉田さんは、大滝さんがデビューしたあとも交流を続けていたということで、吉田さんが震災の津波で夫を亡くし、避難所で生活していたとき、大滝さんから「With Love Always」ということばとサインが添えられたCDが届いたということです。
    吉田さんは「大滝さんは、被災地や夫を亡くした私のことを気にかけてくれていました。気持ちが沈んだとき、大滝さんの曲で励まされ、助けてもらいました。『いい曲をたくさん残してくれてありがとう』と伝えたいです」と話していました。
    http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131231/k10014218081000.html
     

    返信削除
  12. 大瀧詠一の系譜学 (内田樹の研究室)
    http://blog.tatsuru.com/2013/12/31_1454.php

    古川康2013年12月31日 14:24
    大瀧詠一さんが逝くなんて
    http://blogos.com/article/77049/
     
    「大瀧詠一」
    https://www.google.co.jp/search?q=%E5%A4%A7%E7%80%A7%E8%A9%A0%E4%B8%80

    返信削除
  13. 「大瀧詠一」のニュース
    http://www.2nn.jp/word/%E5%A4%A7%E7%80%A7%E8%A9%A0%E4%B8%80

    返信削除
  14. 【年のはじめに】
    国守り抜く決意と能力を 論説委員長・樫山幸夫
    2014.1.1 02:20
    http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140101/plc14010102200003-n1.htm

    >新しい年、平成26年に、わが国が優先すべき政策課題は、もちろんデフレ脱却と東日本大震災復興の加速化だ。アベノミクスは順調に推移し、復興も歩みは遅々としているものの前進をみている。2020(平成32)年の東京五輪開催決定も明るい展望を与えてくれるだろう。

    >人口減少など「静かな有事」も深刻だ。だが「そこにある危機」として安全保障、「国のかたち」のあり方がまず議論されるべきだ。

    返信削除
  15. >自らの手で自国を守り、「国際社会に貢献する道義国家」を志すためにも、戦後価値観を高枕に眠っているわけにはいくまい。
    http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140101/plc14010102200003-n3.htm

    返信削除
  16. 【新春対談】
    安倍晋三首相×作詞家・秋元康氏(1)アイデアと勇気、世界変える
    2014.1.1 20:30
    http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140101/plc14010120300012-n1.htm

    【新春対談】
    安倍晋三首相×作詞家・秋元康氏(2)五輪契機に日本担う自覚を
    2014.1.1 20:31
    http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140101/plc14010120310013-n1.htm

    返信削除
  17. >希望がなければ人間は生きられない。私はこれまで過去について考えを巡らせてきたが、今こそ、新たな価値観の上に立った未来構想が必要だと感じる。有限の世界に放り込まれることで、人間の思考はより深く、強くなる…


    希望を提示されることで人間はころりとだまされる。私はこれまで未来について考えを巡らせてきたが、今こそ、まやかしのない確かな価値観の上に立った歴史認識と科学思考が必要だと感じる。閉鎖的な世界を想定することで、人間の思考はより深く、混迷の度を増す。

    返信削除
  18. >50年後をアシモフ流に予測するなら、再生医療や人工知能などの技術がかなり進むだろう。ヒトのクローンも技術的にはできるはずだ。ただ、そうなれば出産形態は変わり、人工知能でほとんどの人間よりコンピューターの方が仕事を優秀にこなす。技術が人間を凌駕りょうがし、人間の存在価値はますます疑問視される…


    薄っぺらな「生物観」のエセ工学者というほかない。
     

    返信削除
  19. 【貳阡貳拾年 第1部・111人の予想図(1-1)】
    五輪の年、日本は? 首相「改憲済みですね」
    2014.1.1 22:45
    http://sankei.jp.msn.com/life/news/140101/trd14010122450004-n1.htm

    【貳阡貳拾年 第1部・111人の予想図(1-2)】
    「世界のトップ、半分は女性に」
    2014.1.1 22:46
    http://sankei.jp.msn.com/life/news/140101/trd14010122460005-n1.htm

    【貳阡貳拾年 第1部・111人の予想図(1-3)】
    「タブレット配布で授業が変化」
    2014.1.1 22:47
    http://sankei.jp.msn.com/life/news/140101/trd14010122470006-n1.htm

    【貳阡貳拾年 第1部・111人の予想図(1-4)】
    「地球温暖化が進み巨大災害頻発」
    2014.1.1 22:48
    http://sankei.jp.msn.com/life/news/140101/trd14010122480007-n1.htm

    【貳阡貳拾年 第1部・111人の予想図(1-5)】
    「植物工場で農業に大変革」
    2014.1.1 22:49
    http://sankei.jp.msn.com/life/news/140101/trd14010122490008-n1.htm

    返信削除
  20. 未来の方ばかりを見たがる夢追い人たちが、今目の前で起こっている現実の不幸を生みだす…
     

    返信削除
  21. 【主張】止まらぬ少子化 家庭築く楽しさ語ろう 「衰退」の危機克服へ目標値を
    2014.1.3 03:06

     出生数の減少が止まらない。年頭に発表された厚生労働省の推計では、昨年の年間出生数は103万1千人で戦後最少を更新する見通しとなった。100万人の大台割れも時間の問題だ。

     毎年200万人以上生まれた団塊ジュニア世代は、すべて40代となる。出産可能な女性が急速に減り、出生数の大幅増加は難しい。少子化を止められなければ、いつの日にか日本民族は滅び、国家も消滅する。有史以来の「最大の国難」の一つといっても決して過言ではない。その危機感を共有することが第一歩である。

     ≪官民挙げ出生増目指せ≫

     希望があるのは、多くの人が結婚を願い、子供が欲しいと考えていることだ。安倍晋三首相は出生数回復への目標を掲げ、官民挙げてその実現にあたるべきだ。

     出生数は昭和24年の約270万人をピークに長期低落傾向をたどってきた。50年後には50万人を下回り、100年後には24万人ほどになるとの予想がある。このようなペースで減れば社会の混乱は避けられない。各地で過疎化が進む。税収は落ち込む。行政サービスは行き届かない。伝統や文化を継承できない。あらゆる面で国力の衰退を招く。

     すでに少子化の影響は現れ始めている。社会保障は支え手の不足によって制度が揺らぎ出した。住宅や自動車など大型の買い物をする若い世代は減り、消費活動の低迷が懸念される。勤労世代の減少で後継者不足に悩む職場も少なくない。
    http://sankei.jp.msn.com/life/news/140103/trd14010303060001-n1.htm

    返信削除
  22.  「若い世代の問題」とは片付けられない。一刻も早く歯止めをかけるべく、世代を超えて知恵を出し合う必要がある。

     これまでの対策が効果を上げなかったのは、戦時中の「産めよ殖やせよ」へのアレルギーから、政府が結婚、出産に関与することへの反発が強く、国会議員や官僚が及び腰だったことが大きい。その結果、批判を受けにくい子育て支援策に力点が置かれた。平成26年度予算案も、待機児童解消のための保育所の充実などが中心だ。

     いま問われているのは子供が生まれにくい状況をいかに打開するかである。日本では結婚による出産が圧倒的多数を占める。結婚支援策は少子化に歯止めをかける重要なポイントとなる。

     昨年の婚姻数は戦後2番目に少ない66万3千組にとどまる見込みだ。結婚を希望しているのに、できずにいる人を減らすことを優先させるべきだ。子育て支援と両輪で進める必要がある。

     非婚・晩婚は社会要因が複雑に絡み合って起きるが、男性の雇用や収入を安定させることが急務だ。年収300万円未満の既婚率は1割に満たないとのデータもある。非正規雇用の増加も、求婚できない男性を増やしている。

     自治体や企業には、男女が自然に交流できる出会いの場を積極的に提供することを求めたい。ネットの普及で情報は増えたが簡単には結婚に結びつかない。職場などで縁談を勧める「世話焼き」の復活も大事だ。
    http://sankei.jp.msn.com/life/news/140103/trd14010303060001-n2.htm

     ≪結婚支援が喫緊の課題≫

     一方、夫婦とも雇用が不安定なため子供を断念する例も珍しくない。結婚や出産で仕事を辞めざるを得ない女性もいまだに多い。男性の育児参加を促進させるためにも、保育所だけでなく、在宅勤務や復職支援制度をさらに整えていくことが重要となる。児童手当などの家計支援も、世帯の子供数が増えればぐんと手厚くなるような工夫を求めたい。

     何よりも重要なのは、家庭を築く楽しさを社会全体で再確認することだ。結婚や出産の厳しさを知って尻込みする人もいる。既婚者は、家庭を持った喜びや充実感をもっと語ってもらいたい。

     独身者の9割が結婚を望み、平均2人以上の子供が欲しいと考えているとの調査結果がある。数百人規模で若者男女が出会う「街コン」が定着し、妊娠や出産に向けて準備を行う「妊活」なる言葉も登場した。こうした機運を逃す手はないだろう。

     むろん、結婚も出産も個人の選択である。だが、1人の女性が複数の子供を産まない限り少子化に歯止めはかからない。安倍首相は及び腰姿勢を払拭し、国民が希望する「2人以上の子供が持てる社会」の実現に向け、まずは「出生率2・0」の回復を政府目標とすべきだ。大胆な政策をオールジャパンで進めてほしい。
    http://sankei.jp.msn.com/life/news/140103/trd14010303060001-n3.htm

    返信削除
  23. 一方で「エコ」をかたり、もう一方では「大量消費社会」を希求する、支離滅裂なおカルト参詣珍聞社…

    わけわかめ…
     
    理想とする理念観念がどっかでゆがんでる。
     

    返信削除
  24. 「結婚する・しない」「子供を産む・産まない」の自由選択くらいは、国家が余計な干渉をしないでほっとけよ…

    個人のレベルと組織のレベルを混同倒錯させちゃいかん。
     

    返信削除
  25. ま、それができないのが「ファシズム全体主義」者の品性習性らしいからなあ…

    返信削除
  26. [2014年 アシモフの未来生活]人口爆発 正確に予測
    2014年1月3日3時1分 読売新聞

     アイザック・アシモフが50年前に2014年像を描いた未来予測から、今とあしたの世界を考える「2014年 アシモフの未来生活」。連載の後半は、作家・篠田節子さんと歴史学者・川北稔さんが登場する。

              ◇

     「二〇一四年の世界博覧会」は、単行本では「一九九〇年の世界」という未来予測の直後に載せられており、各識者には二つの予測を一体のものとして論じてもらった。併せて読むと、技術発展が実際はゆっくり進んでいるのか、「一九九〇年」予測のほうが、より現実の2014年の生活に近いのが分かる。

     例えば、大陸棚に進出しての海底資源の開発は、日本がメタンハイドレートからのガス採取に成功した昨年のニュースに結びつく。商品が符号化され簡単にコード番号で注文できるスーパー、人工調味で味付けされた肉やチーズなどにも言及。図書館のマイクロフィルムを電話で閲覧できるようになると見たことは、パソコンに向かって検索するだけで情報が得られるようになったインターネット社会を言い当てている。

     喫煙は“公共喫煙所スモカトリウム”内に制限されると予言。さまざまな仕事が自動化され、週に30時間労働が普通になって余暇の過ごし方が問題になるとしたことは、今となっては皮肉にも思える。

     二つの予測に通底するのは、爆発的な人口増加とそれに伴う資源不足への危機感。アシモフは2014年の世界人口を65億(現実は70億)とほぼ正確に予測。世界中の政府が家族調節を行い21歳以下の比率が著しく減少するとしているが、日本のような先進国の少子高齢化までは言及していない。(文化部 佐藤憲一)

               ◇

    新たな家族観の誕生 篠田節子さん(作家)

     50年前にアシモフが未来予測をした当時、人口は30億人を超えたところでした。このままでは世界人口が爆発し、地球の成長が限界に達すると危機意識を持っていた。食料やエネルギー資源、環境、経済の諸問題は、家族や人間関係のあり方に影響するとも考えていた。

     現在は世界の人口が70億人を突破する一方で、少子高齢化が進んでいる日本では、今後、経済的に生産力が衰え、人口が縮小する社会に向かうことへの危機感の方が強い。将来、社会保障の不足を補うセーフティーネットとして、一層の負担が家族に課せられるのではないか。

     アシモフは人口問題との関連で、家族の絆は消えうせ、結婚という形式に縛られない「個人的結合」に推移すると予想した。私は、科学技術の発達が、家族の形に大きく影響を与えると思う。父子関係は従来、出産を経験する母親と比べ、「フィクション」だった。それが生殖医療やDNA鑑定により「事実」になる。自分とつながりのない子どもを育てることへの男性側の恐れに基づき、女性を縛る制度や道徳は必要がなくなるでしょう。

     セーフティーネットなど家族の役割が強調されると同時に、旧弊な家族観から自由になる時代が来ると思う。

     科学の発達で、買い物が機械化、自動化されるとも、彼は指摘しています。この点は男性の見方だなと感じる。女性にとって買い物は、単に必要な商品を手に入れるだけでなく、根源的な楽しみや欲望と結びついている。ショッピングモールに足を踏み入れた瞬間の心浮き立つ感じ。効率性では測れないこの感情的な部分が人間に残る。

     仕事の面で人間は、肉体労働だけでなく知的労働も、機械に奪われつつある。労働は、サービスを売るものへと移行する。販売や介護はもちろん、専門職に至るまで心地よい気持ちを相手に与えられるかで対価に差がつく。男性も女性も、相手に快適さを与えるため繊細であることを今以上に求められるようになるとしたら、イヤですね。

     未来には科学技術が先走り、商業主義が極限まで進むかもしれない。そのとき、最後の歯止めとなるのは人間の身体や生理的な感覚。森を見てすがすがしいと感じ、子どもを抱っこして温かいと思う。これらの感覚は、人間を裏切らないはずです。(聞き手・文化部 待田晋哉)

                ◇

    「衰退」すぐには来ない 川北稔さん(歴史学者)

     アシモフの予想は、かなり的中しているが、科学技術的な予想は、ある程度当てやすい。歴史家が扱う政治や社会の問題は、それと比べ簡単ではない。私の学生時代は「歴史家は絶対に未来を言ってはいけないもの」とされ、「歴史学は未来学」なんて言うと「あほか」と言われたものだった。

     しかし、具体的な予測は無理にしても、何か未来を見通さないと歴史学は意味がない。社会が四つ角に来ている時、どの方向から我々が来たかを示し、今後どの方向に行くか、読む人に考えてもらうのが基本だ。

     若いと歴史はあまり動かないと考えがちだが、私には半世紀で相当世の中は動く、という実感がある。英国の産業革命を研究してきたが、かつて世界を低開発国と開発国に分けて論じる際、低開発国の代表が中国とインドだった。でも今や両国とも発展ぶりがめざましい。中国製品は安いが粗悪と悪口を言われがちだが、50年前同じことを日本製品が言われていた。

     日本を取り巻く動きを見ると、東アジアを主語に分析すれば、今までと違うことが見える。明治の近代化も含めこの100年と少しの間で起きたのは、東アジアの経済発展だ。西欧が、中で凸凹はありながらも全体として発展して行ったのと同じ。日本は先頭を切って発展したが、いつまでも日本だけすごいということはありえない。必ず追いつかれて同じようなレベルになる。

     今の欧州を歩いても、そんなに差は感じないはず。ポルトガルやギリシャの経済が危ないといわれるが、普通の人の生活に大きな差はない。これからの東アジアも同じことだ。

     追いつかれたからどうなるか。英国では19世紀末、ドイツや米国がのし上がってきて「衰退論」が出た。戦後、西ドイツが奇跡的な回復を遂げ、米国が超大国になって衰退論は本格化したが、よく見れば絶対的な生活水準は下がっておらず、相対的な話だった。今では衰退はなかったということになっている。日本だって平成大不況と言っても失業者が皆飢え死にしたわけでもない。中国や韓国に追いつかれたという感覚が響いているだけ。心配するような「衰退」はすぐには来ない。

     日本が今までのように先頭であり続けるのは望んでも無理だろう。だが、50年ほど先を見ても成長した東アジア一般のレベルは維持できる、とは言える。(聞き手・文化部 清岡央)
    http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20140102-118-OYTPT00350
     

    返信削除
  27. 現実から軽やかに遊離した「未来」を夢想できるヒトビトのなんとシアワセな「文学的」日常生活よ…

    返信削除
  28. 50年後でも1億人 政府目標へ - 2014/5/13
    http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/decrease_of_children/

    <人口減少>政府諮問会議委「50年後も人口1億人維持」
    毎日新聞 5月13日(火)11時31分配信

     政府の経済財政諮問会議の下に設けられた「選択する未来」委員会(会長・三村明夫日本商工会議所会頭)は13日午前、急激な人口減少に対応するため、「50年後(2060年代)に人口1億人程度を維持する」との政府目標を盛り込んだ中間報告をまとめた。今後、集中的に対策を講じ、1人の女性が一生に産む子ども数に相当する合計特殊出生率(12年=1.41)を2.07程度に引き上げる。政府が人口維持に向け、具体的な目標値を提示するのは初めて。

     近く諮問会議に報告し、政府が6月に策定する経済財政運営の基本方針「骨太の方針」に盛り込む。会合後、記者会見した三村氏は「1億人(維持の)達成は非常に困難であるが不可能ではない。目標化には一部異論もあったが、国の目標として定めることがみんなを動かす時に必要だ」と強調した。

     日本の総人口(13年)は1億2730万人。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、48年には1億人を割り込み、60年には約3割減の8674万人になる。65歳以上の占める割合も13年の25.1%から、60年に39.9%にまで拡大する。

     中間報告は「社会・経済の抜本改革をしなければ国際的地位や国民生活の水準が低下し、社会保障給付が増加して財政破綻を招く」と指摘。30年に出生率を2.07に引き上げ、同水準を維持することで60年人口を1億545万人程度にするとしている。65歳以上の割合も33%に抑えるという。

     人口を維持するため、中間報告は出産・子育て支援策を拡充し、出生率を引き上げるよう提言。高齢者に手厚い社会保障の予算を見直して財源を捻出し、子育て世代に重点配分する。産業の新陳代謝をはかり、70歳まで働ける社会を目指すことも盛り込んだ。【中島和哉】

    【関連記事】
    900自治体が消滅の恐れ?
    <日本の将来>大都市だけが残る「極点社会」と化す?
    <「消滅可能性」リスト>関東編
    「極点社会」防ぐには?
    <日本の将来>大都市だけが残る「極点社会」と化す?

    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140513-00000019-mai-pol

    返信削除
  29. 発想が基本、家畜の増養殖繁殖の思想哲学でしかない…

    豊かになるには、できるだけより大きく多く増やすこと…

    返信削除
  30. 有識者委「50年後も人口1億人維持が必要」
    5月13日 15時37分

    政府の有識者委員会は、現在の出生率のままでは、日本は「人口急減・超高齢社会」になり、経済規模の縮小につながるおそれがあるとして、出産や子育て支援を倍増させ、50年後も1億人程度の人口を維持する必要があるなどとする中間報告を取りまとめました。

    この有識者委員会は、中長期的な日本経済の課題を検討するため、政府の経済財政諮問会議の下に設けられているもので、13日中間報告を取りまとめました。
    それによりますと、現在の出生率のままでは、50年後の日本の人口は今の3分の2程度のおよそ8700万人にまで減少し、その4割が65歳以上の「人口急減・超高齢社会」になり、経済規模の縮小につながるおそれがあるとしています。
    そのうえで、出生率の回復に向けて、社会保障費の資源配分の重点を高齢者から子どもへと大胆に移し、出産や子育て支援を倍増させ、50年後も1億人程度の人口を維持する必要があるとしています。
    また、これまで65歳未満と定義してきた生産年齢人口について、「70歳までを働く人と捉え直し、仕事や社会活動に参加する機会を充実させていく」ことを提案しています。
    政府は、こうした提言を来月取りまとめる「経済財政運営と改革の基本方針」、いわゆる「骨太の方針」に反映させることにしています。
    http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140513/k10014413211000.html

    返信削除
  31. 戦後のバブルに浮かれたルーピー屋さんがた、まだそれに夢見るヒトビト…

    返信削除
  32. 社説
    反グローバリズムの拡大防げ
    2017年1月1日6時0分

     ◆トランプ外交への対応が必要だ◆

     「反グローバリズム」の波が世界でうねりを増し、排他的な主張で大衆を扇動するポピュリズムが広がっている。国際社会は、結束を強め、分断の危機を乗り越えなければならない。

     保護主義を唱え、「米国第一」を掲げるドナルド・トランプ氏が20日に米大統領に就任する。

     力による独善的な行動を強めるロシアや中国に、トランプ氏はどう対応するのか。既存の国際秩序の維持よりも、自国の利益を追求する「取引」に重きをおくのであれば、心配だ。

     米国が、自由や民主主義といった普遍的な価値観で世界をリードする役を降りれば、その空白を埋める存在は見当たらない。

     移民の増加を拒否し、欧州統合の理念に背を向けた英国の欧州連合(EU)離脱は、今春に具体化の段階に入る。春の仏大統領選、秋の独総選挙でも、排外主義を掲げる勢力の伸長が予想される。

     各国が内向き志向を強め、利害対立が激しさを増す。そんな潮流に歯止めをかける必要がある。

     激変する国際環境の中で、日本は、地域の安定と自国の安全を確保していかねばならない。

     日米同盟の重要性をトランプ氏と再確認し、さらに強化する道筋をつけるべきだ。

     ◆「米露中の関係どう変化

     トランプ氏の外交姿勢で目を引くのが、ロシアとの関係改善への意欲だ。大統領選中から、プーチン露大統領を評価する発言を繰り返した。国務長官には親露派の石油企業トップの起用を決めた。

     プーチン氏も対米修復に積極的だ。両氏は、シリア内戦の終結や過激派組織「イスラム国」対策で協力を深める構えでいる。

     だが、オバマ政権の下で、米国はロシアのクリミア併合をめぐり、欧州とともに対露経済制裁を主導してきた。シリアでも、欧米はアサド政権の早期退陣を目指し、現政権支持のロシアと対立してきた経緯がある。

     ロシアの協力を得る引き換えに、クリミア併合やアサド政権の存続を容認する。トランプ氏がそんな方針に転じることがあれば、米欧間に亀裂が走ろう。

     中国に対し、トランプ氏がどのように行動するかも不透明だ。トランプ氏は台湾の蔡英文総統と電話会談し、続いて「一つの中国」原則への疑問も口にした。中国の南シナ海での力による進出を問題視する構えも示す。

     大統領選中には、中国の対米輸出増に高関税で対抗するとも公言していた。貿易問題と安全保障を絡めて中国を牽制けんせいし、有利な状況を作り出そうとの戦略なのか。

     中国の習近平政権の対応次第では、米中間の緊張が高まろう。

     逆に、トランプ氏が中国の行動に甘い姿勢をとれば、アジアでの中国の覇権的な振る舞いに拍車がかかる懸念もある。中国は初めて空母に西太平洋を航行させるなど、海洋進出を加速している。

     トランプ氏にも国務長官予定者にも、政治経験がない。軍出身者が並ぶ閣僚の布陣も、危うさがある。米露、米中関係の変化が国際秩序にもたらす影響を、注視する必要がある。

     日本は、尖閣諸島周辺などで中国の膨張圧力に直面している。ロシアとの間では北方領土交渉を抱える。トランプ外交の行方にとりわけ目を凝らさざるを得ない。

     オバマ米大統領は、尖閣諸島が、米国の対日防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用対象であると明言していた。トランプ氏がその立場の継承を確認するかどうかは、日本の安全確保に大きな意味を持つ。

     トランプ氏は、在日米軍経費の負担増に言及したが、日本は同経費の75%を負担している。負担額は米同盟国の中で突出して多い。集団的自衛権の限定行使を可能にした安全保障関連法で、米軍への協力体制も強化された。

     ◆同盟の意義確認したい

     日米同盟による抑止力の強化が、東アジア地域の安定に不可欠で、米国の国益にも適かなうことを、粘り強く説明していくべきだ。

     安倍首相は昨年末、オバマ氏とともにハワイの真珠湾を訪問した。日米の歴史的な和解の集大成と位置づけられる。首相は、未来志向の「希望の同盟」を築いていく決意を強調した。

     今月下旬に予定されるトランプ氏との首脳会談でも、この目標へ共に歩むことを確認したい。首相には、国際政治が混迷しないよう、トランプ外交に注文をつけていく役回りも期待される。豊富な政治・外交経験を生かす時だ。

     北方領土交渉を巡る日本とロシアとの立場の隔たりは、なお大きい。安倍首相とプーチン氏は、昨年12月の首脳会談で、4島での「共同経済活動」に関する協議の開始で合意した。

     平和条約締結への重要な一歩となり得るが、具体的な制度設計はこれからだ。経済活動に携わる企業や労働者の納税、トラブルなどに適用する法律をどうするか。

     安倍首相は記者会見で「特別な制度」を作る考えを示した。ロシア法でもなく日本法でもない特別な制度との趣旨だが、プーチン氏からは、制度について直接の言及はなかった。

     両国の主権に関わる問題を乗り越えられるかは、まだ見通せない。米露関係の改善が進めば、ロシアにとっては、対日交渉の優先度が低下するとの観測もある。

     安倍首相は、今年早期に訪露し、プーチン氏と会談する考えだ。プーチン氏の真意を見極めつつ、両首脳間の信頼関係を生かして交渉を前進させるしかない。

     国際情勢を揺るがすのは、トランプ外交ばかりではない。米大統領選での「トランプ現象」に通底する反グローバリズムとポピュリズムは、欧州でも、その勢いを増している。

     ◆勢い増すポピュリズム

     英国のEU離脱を決定した国民投票では、生活に苦しむ低所得者や労働者が離脱に賛成票を投じた。「移民を拒否し、政策の決定権をEUから自国に取り戻せ」という離脱派の主張に賛同した。

     「反移民」「反EU」「反エリート」などのスローガンを掲げることで、国民の不満をすくい取る政治勢力は、他の欧州諸国でも存在感を増している。

     フランスでは極右政党・国民戦線のルペン党首が支持を広げ、ドイツでも難民受け入れ反対を掲げる「ドイツのための選択肢(AfD)」が地方選で躍進を続ける。

     イスラム過激思想に基づくテロの拡散が、こうした勢力に利用されている点も見逃せない。

     昨年末、ベルリンでクリスマスの市に大型トラックが突入したテロでは、「イスラム国」が犯行声明を出した。容疑者は難民申請を却下された人物だった。

     AfDは、すかさず、寛容な難民政策を進めてきたメルケル独首相への批判を展開した。

     市民のテロへの恐怖心をも利用して、難民や移民を拒否すれば安全や生活の安定が保てるかのように唱える。排外主義を煽あおるポピュリズムの拡大は、人や物の自由な移動を進めるグローバリズムの最大の障壁になりつつある。

     米欧で反グローバリズムやポピュリズムが伸長する背景には、リーマン・ショックを契機とした世界的な経済成長の停滞がある。

     自由貿易の拡大は、各国に産業構造の変化をもたらした。国際競争力の低い産業は衰え、生産や雇用が国外に流出する。

     高成長が確保されている間は、他の産業が雇用を吸収するなどしてしのげる。だが、成長が滞るとそれも難しくなる。

     自分たちはグローバル化の犠牲になったと感じる人々が増えた。移民や難民に職を奪われることへの危機感も相まって、排外主義や保護主義に同調している。

     ◆自由貿易で成長復活を

     トランプ氏は、環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱を予告している。TPPは、今後の自由貿易の標準となり得る高度な枠組みだ。その否定は、自由貿易拡大の機運を萎しぼませる。

     保護主義を強めれば、雇用や生産が復活し、自国民の生活が楽になると考えるのは、短絡的だ。自国市場を高関税で守れば、消費者は割高な商品の購入を強いられる。他国が対抗策をとれば、輸出産業も打撃を受ける。

     経済資源を、国境を越えて効率的に活用するのが自由貿易だ。多国間での取り組みをさらに進め、新興国の活力や技術革新の成果を世界に広げることで、成長の復活を目指すしかない。それが国際政治の安定の基盤ともなろう。
    http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20161231-118-OYT1T50138

    返信削除
  33. トランプ次期大統領が新年のメッセージ
    1月1日 5時52分

    アメリカのトランプ次期大統領は自身のツイッターに「私と戦ってひどい負け方をした人たちを含め、皆さん、新年おめでとう」と新年のメッセージを書き込みました。

    今月20日にアメリカの第45代の大統領に就任するトランプ氏は31日、自身のツイッターに新年のメッセージを書き込みました。

    その中で、トランプ氏は「私の多くの敵、そして私と戦ってひどい負け方をして、どうしていいかわからない人たちを含め、皆さん、新年おめでとう」としています。

    トランプ氏は過激な発言で多くの批判を浴びてきましたが、大統領選挙で激しい争いの末、クリントン前国務長官に勝利しました。

    南部フロリダ州の別荘に滞在しているトランプ氏は31日、支持者や関係者とパーティーを開いて新年を祝い、新年の1日にはニューヨークに戻って、就任に向けた準備を加速させる予定です。
    http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170101/k10010826161000.html

    返信削除
    返信
    1. トランプ氏「敵も良いお年を」
      新年メッセージ
      2017/1/1 08:46

       【ワシントン共同】「私の敵や、私と戦って手痛い敗北を喫した人も含め、皆さん良いお年を」。トランプ次期米大統領は12月31日、自身のツイッターで新年のメッセージをつぶやいた。

       「敵」が誰を指しているか明確に書かれていないが「敗北を喫した人」は大統領選を通じて対立した人々を指すとみられる。「(負けた人は)途方に暮れているだろう」と挑発するような表現も付け加えた。

       トランプ氏は30日にもツイッターで、オバマ大統領が発令した対ロシア制裁への報復措置を見送った同国のプーチン大統領を「素晴らしい」と称賛している。
      https://this.kiji.is/188074025411543049

      削除
  34. 社説
    日本経済再生 企業の「稼ぐ力」を取り戻そう
    2017年1月3日6時2分

    ◆国民の将来不安は払拭したい◆

     経済再生の歩みをより確かなものとし、社会の活力回復へ足がかりをつかめるか。2017年は正念場を迎えよう。

     明るい兆しが見え始めたとは言え、景気回復は力強さを欠く。消費者の財布のひもは緩まず、企業は投資に及び腰だ。

     バブル崩壊以降の「失われた20年」で染みついた縮み志向を払拭することなしに、発展の基盤は築けまい。人口減や高齢化など構造問題から逃げず、企業の「稼ぐ力」を高める。民間主導の成長軌道を取り戻す1年としたい。

     デフレ脱却を目指すアベノミクスは5年目に入った。

    ◆先端技術の潮流に乗れ

     金融緩和と財政出動の効果で、企業収益こそ改善したものの、消費、投資の拡大で経済の好循環を生むには至っていない。

     第3の矢である成長戦略が思うように進んでいないためだ。

     15年度の名目国内総生産(GDP)は532兆円で20年前とほぼ変わらない。低成長の長期化で国力がじり貧となる状況は欧米以上に深刻だ。

     経済の実力を示す潜在成長率は、1990年代初頭の3%台から0%台前半へと大幅に落ち込んでいる。

     官民が息を合わせ、成長力の底上げに取り組まねばならない。

     何と言っても、主役は企業である。成長の機会を逃さず、攻めの経営に徹してもらいたい。

     あらゆるものがインターネットにつながるIoT、人工知能、ロボットなど次世代の技術が社会を大きく変えようとしている。

     蒸気機関、電力、コンピューターに続く「第4次産業革命」と呼ばれる新たな潮流を、積極的にとらえることが重要だ。

     日本企業の製品は、高品質だが機能過多なケースが多い。世界的標準からかけ離れた「ガラパゴス化」に陥り、国際競争で後塵こうじんを拝してきた。内向きの発想を改め、技術に優れた強みを生かす世界戦略を持ちたい。

     生産性を上げ、付加価値を高められる産業分野は少なくない。人口減や高齢化も見方を変えれば、新ビジネスを生む「宝の山」となり得る。介護、保育、教育、農業などは潜在的な成長市場だ。

     政府は、もっと大胆に規制緩和や補助金、税制の制度改革を進め、企業の新規投資や起業を後押しすべきである。民間の要望をきめ細かく反映させたい。

     人口減は地方経済を直撃する。地方の企業を元気付け、成長の裾野を広げるには、観光振興が一つのヒントになろう。自治体と企業が一体で、魅力ある観光資源を開拓し、国内外に発信したい。

    ◆眠れる資金の活用を

     地方銀行の役割も見逃せない。地元企業の再生を支援する。不動産担保にとらわれず、将来性を見極めた融資判断を磨く。地銀の貢献が地域を活性化する。

     家計は1700兆円を超える個人金融資産を持ち、企業の内部留保は370兆円にのぼる。こうした眠れる資金を経済活性化に活用する工夫が必要だろう。

     国民の生活不安を解消する政府の努力も欠かせない。

     非正規雇用が4割に達し、将来の賃金上昇や職の確保に自信を持てない人が増えている。

     少子高齢化で年金や介護を巡る不安も増す。強い経済を実現するには、雇用と社会保障制度の立て直しが急務だ。

     政府は「働き方改革」を着実に進めるべきである。短時間勤務など多様な働き方を認め、正社員を増やす施策が求められる。

     社会保障の持続性を高めるには財源問題を避けて通れないが、財政は危機的状況にある。

     国と地方の長期債務残高は16年度末で1000兆円超、GDPの2倍に達する見込みだ。団塊世代が75歳以上になる20年代が目前に迫る。社会保障給付が急増し、財政が一段と悪化しかねない。

    ◆厳しさ増す財政・金融

     20年度までに基礎的財政収支を黒字化する政府目標も実現は難しい。消費増税延期を踏まえ、社会保障と税の一体改革実現への道筋を抜本的に見直す必要がある。

     日銀の異次元緩和も、実施から4年近くを経て、曲がり角を迎えた。物価上昇率を2年間で2%まで高める目標は、なお遠い。

     マイナス金利政策に続き、金融政策の軸足を「量」から「金利」へ移す新たな手法を導入した。

     前例のない長期金利誘導を円滑に実施できるか、円安進行による輸入物価の上昇が政策にどう影響するか。課題も指摘される。

     日銀は新手法の効果を見極めながら、今後も粘り強く金融面からの経済下支えに努めるべきだ。
    http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20170102-118-OYT1T50088

    返信削除
  35. [展望2017]あくなき成長追求の年…経済部長 天野真志
    2017年1月6日5時0分

     経済は「生き物」だ。

     その動きは時に激しく、時に繊細である。

     東京株式市場は今年最初の取引となった4日、500円近い上昇を記録し、好スタートを切った。5日は利益確定の売りが出たが、急落が続いた昨年初めとは対照的に、前向きな空気が市場を覆う。

     昨年の米大統領選前、ドナルド・トランプ氏の勝利は市場の波乱要因になるとの見方がほとんどだった。だが、実際は減税や規制緩和を掲げるトランプ氏への期待から、株高・円安基調が今も続く。

     「生き物」の先を読む難しさを改めて思う年始めだ。

     米国の景気拡大観測を背景に、2017年の日本経済には明るい予測が目立つ。

     読売新聞の主要30社アンケートでは、経営者の7割が今後半年ほどの景気を「緩やかに回復する」と見込んだ。日本銀行の黒田東彦はるひこ総裁も「風向きは逆風から追い風に変わりつつある」と明言する。

     ただ、経済のエンジンを米国だけに頼るのは危うい。今年こそ内需主導の自律的な成長を実現すべきだ。あくなき政策努力が求められる。

     マイナス金利にまで踏み込んだ金融政策の手詰まりは明白だ。金融緩和策から財政政策や成長戦略へのバトンパスを成功させねばならない。

     教育や医療、人工知能(AI)などの成長分野へより重点的に資金を投入する必要がある。規制改革や税制改正を実行し、企業の投資や生産性向上を図ることも大切だ。

     消費や投資を手控えさせる国民の将来不安を和らげるには、社会保障改革や少子化対策の拡充も欠かせない。

     新年のキーワードは何か。7人の市場関係者に尋ねた。うち2人が「VUCA(ブーカ)」という言葉を挙げた。

     Volatility(変動)、Uncertainty(不確実)、Complexity(複雑)、Ambiguity(曖昧)の頭文字で予測不能な状況を表す。

     確かに世界経済が抱えるリスクに警戒は怠れない。米国には過度のドル高や金利上昇、保護主義的な通商政策で景気が停滞する懸念がある。

     欧州もポピュリズム(大衆迎合主義)の蔓延まんえんや銀行の経営不安など問題が山積している。米国の利上げで資金流出が進む新興国は、急激な通貨安やインフレが心配だ。

     マエストロ(巨匠)と呼ばれたアラン・グリーンスパン元米連邦準備制度理事会(FRB)議長はかつて、経済分析の難しさを「走っている人の服の寸法を測るようだ」と例えた。

     そのマエストロも退任後にリーマン・ショックが起き、過去の判断を批判された。

     走る人の寸法を測るには、その人より速く走らねばならない。変化の波頭をいち早く捉える必要がある。

     過度な悲観や楽観を排し、冷静に経済という「生き物」を見つめ、警鐘を鳴らしていきたい。

           ◇

     経済部 部員は67人。国内外の経済政策や景気情勢、市場動向、企業ニュースなどを取材する。「国際経済」面や「家計の知恵」面も担当。
    http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20170106-118-OYTPT50009

    返信削除
  36. 社説
    緊張を安定に導く対北戦略を
    2018年1月1日6時0分

     ◆眠っているカネは政策で動かせ◆

     70年余り続く平和と繁栄を、どう守り抜くのか。周到な戦略と、それを的確に実行する覚悟と行動力が求められる年となろう。

     北朝鮮による緊張が高まっている。広島型原爆の10倍を超える威力の核実験を行い、大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射した。核の小型化と弾頭の大気圏再突入の技術があれば、米本土への核攻撃能力を手にすることになる。

     冷戦後、圧倒的な軍事力を持つ米国は、ロシアや中国との「核の均衡」を維持しつつ、世界の安全保障を主導してきた。米国を敵視する北朝鮮は、自国の独裁体制維持を目的に、安定した国際秩序を崩そうとしている。

     ◆戦後最大の「まさか」

     国連制裁と中国を含む各国の独自措置によって、北朝鮮は貿易が制限され、孤立化が進む。米国の軍事的圧力も受けている。それでも北朝鮮の暴走を止められるか、国際社会は確信を持てない。

     「すべての選択肢がテーブルにある」とする米国の軍事力に解決を委ねるのか。逆に北朝鮮が暴発するのか。一触即発の中で、偶発的な衝突もあり得よう。

     朝鮮半島全体に戦闘は広がり得る。北朝鮮の中距離弾道ミサイルが一挙に破壊されなければ、日本へ飛び火する可能性がある。戦後最大の「まさか」に対し、不安感が広がるのは、無理もない。

     脅威を「国難」と位置づける以上、日本政府の責務は重い。自衛隊と米軍の連携を深め、ミサイル防衛を着実に増強すべきだ。万一を想定し、国民や在韓邦人の避難・保護、朝鮮半島からの避難民対策に万全を期すべきである。

     言うまでもなく、目指すのは、戦火の回避と外交を通じた解決である。米国、韓国との緊密な協調の下、北朝鮮経済の生命線を握る中国を動かす手立てを粘り強く追求してもらいたい。

     北朝鮮の核戦力を一部でも残すような中途半端な決着は、将来への禍根となる。

     核拡散防止条約(NPT)に基づく核保有国である米露中英仏以外に、インド、パキスタンが核を開発し、イスラエルも核を保持したとされる。どの国も国際社会の懸念を高めないよう、核の運用で抑制的な姿勢を堅持している。

     北朝鮮は全く異なる。核を恫喝どうかつ外交の道具に使い、数々の国際約束を平気で破ってきた無法国家である。制裁が解かれれば、外貨稼ぎのため、技術を中東やテロ組織に売り渡しかねない。世界的な厄災を招くことになるだろう。

     一方で、冷静に北朝鮮を見る目も持ちたい。国内総生産(GDP)は、国連の推計だと、約160億ドル(1兆8000億円)だ。1人当たりでは、日本の50分の1以下にとどまる。

     金正恩朝鮮労働党委員長は、核戦力強化と経済再建の二兎にとを追う「並進路線」を掲げる。父正日氏の「先軍政治」と異なり、軍備と民生の両立という、困難な道を選んだ。体制の動揺から自壊する可能性は小さいとは言えまい。

     北朝鮮を封じ込めつつ、暴発に追い込まないよう、駆け引きによって核ミサイル計画を放棄するための対話を迫る。それには、国際包囲網の維持が欠かせない。長期戦を覚悟する必要もあろう。

     ◆「キューバ」を教訓に

     1962年、世界を震撼しんかんさせたキューバ危機は、ソ連による核兵器の持ち込みがきっかけだった。ケネディ米大統領は、ソ連に軍事的圧力をかけつつ、フルシチョフ首相と水面下の交渉を粘り強く重ね、核の撤去にこぎつけた。

     核戦争を瀬戸際で回避できたのは、ケネディ氏が外交的解決を目指す姿勢を貫き通したからだ。

     北朝鮮危機を米国主導で乗り切り、地域に安定をもたらすには、トランプ大統領が、衝動的な行動を自制し、しかも、安易な譲歩に応じないことが必須である。

     トランプ氏の言動に予測できない面がある以上、マティス国防長官やマクマスター国家安全保障担当補佐官ら軍事専門家の支えと、日本など同盟国による適切な助言と働きかけが今後も不可欠だ。

     米国とは、首脳間に加え、閣僚や事務レベル、米軍と自衛隊の制服組同士の関係も深めたい。東アジア情勢が劇的に変わらない限り、日米同盟は、日本の外交・安保政策の基軸であり続ける。

     憂慮すべきは、米国第一主義を掲げるトランプ政権の内向き姿勢が国際関係に及ぼす影響だ。

     環太平洋経済連携協定(TPP)を脱退した米国が、2国間で貿易不均衡を強引に解消しようとすれば、相手国の反発で相互の貿易や投資は縮小しかねない。

     米国が繁栄を維持するには、関係国と協調し、多国間の経済秩序を支えるしかない。そうトランプ氏に伝えていく必要がある。

     富強路線を突き進む中国との外交は、微妙なかじ取りが要る。

     無用な対立は、日中双方の得にも、東アジアの安定にもつながらない。信頼醸成のためには、日本が中国の動向を見据えつつ、必要に応じて注文をつける方が、迂遠うえんに見えても有効な手段である。

     ◆中国との信頼醸成図れ

     巨大経済圏構想「一帯一路」が排他的にならないよう、日本が協力することは、戦略的な観点から理解できる。中国が、途上国支援の経験やノウハウが豊富な日本と手を結ぶメリットは明らかだ。

     対中交渉には、国力の裏打ちが欠かせない。日本が防衛力と経済力を保持することで、中国への発言力が増す。米国や豪州、インドなど、価値観を共有する国々と足並みをそろえて主張すれば、中国も無視することはできまい。

     中国が包囲網と警戒しないよう国際連携の利点を訴えたい。

     80年代の日中蜜月は、最高指導者トウ小平氏と日本の政財界人らの太いパイプの賜物たまものだった。両国の力関係が様変わりし、かつての状態には戻れないが、権力基盤を固めた習近平国家主席と直接話し合う重要性は変わらない。

     まずは、中断している両国首脳の相互往来に、道筋をつけるべきである。会談を重ねて立場の相違を埋め、互恵のための妥協点を探ってもらいたい。

     国内経済に目を転じれば、良い指標は数多い。雇用と株式市場は絶好調で、多くの企業の収益は上り調子だ。一方で、家計と企業にはカネが積み上がっている。

     家計が保有する現金は、1年間で5兆円増えて83兆円となった。預貯金と合わせると25兆円多い943兆円だ。金融資産全体で83兆円増の1845兆円に達する。

     家計と、金融を除く民間企業の金融資産を合計すれば、3000兆円超という途方もない額だ。

     個人は消費を控え、企業も従業員の待遇改善や設備投資を抑えている。これでは、賃上げが消費を押し上げ、さらに賃金アップにつながる好循環は実現しない。

     安倍首相が最優先の公約とするデフレ脱却を果たすには、個人と企業の節約マインドを変えねばならない。旧来の常識にとらわれず、眠っているカネを動かす大胆な政策を展開すべきだ。

     ◆国民負担議論の好機

     日銀の異次元の緩和は、当初2年間がメドだったが、ずるずる延びて5年になる。日銀は発行済み国債の4割以上を保有する。マイナス金利は、金融機関の経営に重くのしかかっている。

     このまま続けて問題ないのか。今春の総裁人事を前に、政府・日銀は金融政策を総括すべきだ。

     多くの国民の間には、少子高齢化に伴う、将来への不安感が蔓延まんえんしている。それは、若年層ほど切実である。医療・介護・年金制度の長期的な安定こそが、政府が旗を振る「人生100年時代」を安心して迎える前提となる。

     社会保障の給付増に合わせ、消費税は、2019年10月に10%とした後、さらなる引き上げが必至だ。新たな「社会保障と税の一体改革」の策定が急務である。

     この6年間、衆参両院選が計5回行われた。選挙に勝つため、与党は消費増税を2度延期し、バラマキ色の強い政策を掲げた。

     財政健全化の先送りは、もう許されない。国政選挙の予定がない今年は、国民負担を議論する好機だ。秋の自民党総裁選で3選を目指す首相と挑戦者は、社会保障と財政の安定策を競ってほしい。

     政治に求められるのは、国民の不安を取り除くとともに、未来への展望を開くことである。
    http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20171231-118-OYT1T50070

    返信削除
  37. [平成の人生案内]世相編<1>ネット登場 人間関係変化
    2018年1月1日5時0分

     「平成」はあと1年余りで幕を閉じる。元号にこめられた願いの通り、平和な時代だったが、そこにも生きる苦しみはあった。この30年、日本人は何に悩んできたのか。本紙に掲載された人生案内を通じて、われわれの時代を振り返る。

    過度な「つながり」、募る孤独
     平成に入って登場してきた悩みが、ネットにまつわる人間関係の悩みだ。

     〈ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)が原因で、体調を崩すほど悩んでいます〉というのが、2013(平成25)年の20代主婦の相談。

     〈昨年秋に結婚。新居に高校時代の友人たちが遊びに来てくれました。後日、そのことをSNSに書いたら、ほかの友達から「誘われもしなかったなんて寂しい」とコメントが届きました。すぐ謝りましたが、私を責める言葉ばかりが返ってきました〉

     16(平成28)年、20代フリーター女性は逆の立場から相談を寄せた。〈友人たちが私抜きで食事に行った時の写真が、SNSに載っていました。ショックで、友人たちの連絡先を消し、関わることをやめました〉

     SNSによって、人と人はいつでも、どこでもつながっている状態になった。コミュニケーションが密になったが、「きずな依存」「つながり依存」ともいうべき状態になっている。

     〈朝起きるとすぐ、スマートフォンでSNSをチェックする習慣が染み付いてしまいました。人とのつながりが消えるのが怖いのです〉=女子高校生、17(平成29)年=。

     〈バイトで働いていたメンバーでボウリングに行ったそうです。私はブログに書いてある近況報告を読み、そのことを知りました。インターネットで近況報告する時代に生きる私たちの世代は、孤独や疎外感を感じる機会が多いような気がします〉=高3女子、10(平成22)年=。

     リア充への嫉妬についての相談も、平成ならではだ。

     〈SNSに投稿された友人たちの写真を見ては、自分と比較して落ち込んでしまいます。おしゃれなレストランやブランド品、手作り料理、かわいい自撮り写真……キラキラしたものであふれています。妊娠報告も多く、焦りや不安を感じます〉=20代女性、15(平成27)年=。

     スマホは、人間関係そのものを変えてしまうかもしれない。そんな変化を感じさせる相談もある。

     〈父が亡くなった日、夫と子どもの3人で飛行機を乗り継いで実家に向かいました。夫はベビーカーを押す私の写真を撮り、悪気もなく、「合掌。義父急逝」と投稿したのです。父を亡くした私の写真を、世界中の友人と共有する気持ちが理解できません〉=40代主婦、17(平成29)年=。

     人は家族や友人などの親しい人々に守られ、安心を得る。その世界が、SNSによって見知らぬ人に接続される。便利さと引き換えに失ったものは、親密な人間関係ではないだろうか。

     〈母がスマートフォンに熱中しすぎで、心配しています。友達と無料通信アプリでやりとりするようになり、食事より優先するうえ、掃除や洗濯も滞りがちです。父と姉、私で「スマホ第一で行動されるのが嫌だ」という気持ちは伝えてきました〉=女子中学生、16(平成28)年=。

     〈友達との会話中に携帯を触る、会話しながら携帯のゲームに夢中になるなど、携帯が手放せない人が目立つようになり、悲しくなる自分がいます。なぜ、人と話をしている途中に携帯を触る必要があるのでしょうか〉=20代女子大学生、同年=。

    (編集委員 斎藤雄介)

      ◆リア充= 恋人や友人がいるなど、リアル(現実)の生活が充実している人を指すネット上の俗語。

    ゲーム依存 きしむ家族

     ネットゲームへの依存は深刻な問題だ。

     〈中学3年の息子は部活をやめさせられて以来、スマホのゲームばかりしています。将来、こんな調子で定職に就かず、家でごろつかれても困ります。息子を私の人生から抹消したいとさえ考えます。本人にも、「こんなクズ、産むんじゃなかった」と言います〉。2016(平成28)年の40代会社員女性からの相談は、ネット上でも話題になった。

     ゲーム依存は若い男性に多いイメージがあるが、相談を見ると、年齢も性別も一様ではない。

     〈定年後、嘱託として働いている実家の父がネットゲームにはまってしまいました〉=20代主婦、06(平成18)年=。

     〈50代の母がスマートフォンのゲームにはまってしまい、困っています。性格が変わり、怒りっぽくなりました。ゲームのやり過ぎを注意すると激高し、「私だって好きなことをして生きたい」と言います〉=20代会社員女性、15(平成27)年=。

     東京大学教授の橋元良明さん(コミュニケーション論)の調査では、ゲームやSNSに依存するネット依存者は情緒が不安定で、堅実ではない傾向がある。「家庭が面白くない、生活目標がないなど、現状への不満足が背景にある。それでネットにおぼれる。依存から脱するために一番有効なのは、ネット以外に打ち込めることを見つけること。とはいえ、なかなか見つかるものではない。まわりがサポートしながら、その人の不安に向き合って相談相手になるしかない」と話す。
    http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20171231-118-OYTPT50149

    返信削除
    返信
    1. [平成の人生案内]世相編<2>女性の社会進出 悩み複雑に
      2018年1月3日5時0分

      仕事か出産か/共働き 夫が非協力/管理職不安

       平成の30年間は女性の仕事に対する向き合い方が劇的に変化した時代だ。昭和の終わりの1986(昭和61)年に、男女雇用機会均等法が施行され、女性は結婚して夫を支える立場から、働いて自己実現を目指す方向へと大きく踏み出した。女性の就業率は上昇し、共働き世帯の数は、専業主婦世帯を上回った。

       〈仕事は男性の補助、庶務的業務だけ。一生職につきたいが、補助で終わってしまうかと思うと残念〉=20代OL、1991(平成3)年=。

       人生案内には、女性からの仕事に関する悩みが目立つようになる。男性社会の壁は依然たちはだかる。

       〈仕事が取れない。まだ日本は男社会。実力よりも人脈、コネを重んじる社会に嫌気が差す〉=20代フリー、95(平成7)年=。

       やりがいを感じて働くうちに、結婚や妊娠・出産が脳裏をよぎる頃がある。仕事のキャリアをとるか、妻や母として生きる道を選ぶのか。一方を手放しても迷いは生じる。

       〈会社でキャリアを積み、達成感に満ちた日々だったが子どもに恵まれず、退職。子が生まれて喜びを感じるが、人生が止まってしまっているような気になる〉=30代主婦、2006(平成18)年=。

       〈結婚して3年。子どもは欲しいが、仕事を辞めると、社会と断絶され、孤独になるのが怖い〉=20代会社員、06(平成18)年=。

       そうした悩みについて、日本女子大学現代女性キャリア研究所所長の大沢真知子さんは、「男女雇用機会均等法以降、女性は個人の名前で活躍する機会が与えられた。その世界を知ると、妻や母としての自分だけでは終われないという思いを抱くようになった」とみる。

       働き方は多様化し、悩みも複雑になった。

       1999(平成11)年労働者派遣法が改正され、派遣可能な業種が原則自由化されたことなどから、非正規で働く女性も増えた。異なる雇用形態で働く女性からの同性の働き方に対する視線は厳しい。

       〈同じ職場の女性正社員は入社半年で『できちゃった婚』。育児休暇から復帰し、花形といわれる部署にいるが、子どもが風邪を引いただけで、引き継ぎもせず7連休もとった〉=30代派遣社員、2011(平成23)年=。

       共働き家庭は増えたが女性の負担は減らない。〈残業せざるを得ない時、夫に子どもを頼むと、「たいした仕事もしてないくせに」と拒否された。一度帰宅し子連れで会社に戻った〉=40代会社員、09(平成21)年=。

       16(平成28)年には、女性活躍推進法が施行され、企業は、指導的な立場の女性を増やす目標に向け、本腰を入れた。だが、これまで指導者として育成されてこなかった女性たちの中には戸惑う人もいる。

       〈人の後についていくタイプで、リーダーシップが取れない。そろそろ管理職なのに、自信がない〉=40代会社員、16(平成28)年=。

       男性の補助的な立場から指導者へ。女性の進出を阻む「ガラスの天井」は依然として存在するが、社会が女性に求める役割は大きく変わった。

       大沢さんは「今は自分で生き方を選び取る時代。様々な働き方の選択肢が出てきたからこそ、これでよかったのかという迷いは生じる。一番大事なのは、自分が何をしたいのかを考えること」と話す。(遠藤富美子)
      http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20180102-118-OYTPT50026

      削除
    2. [平成の人生案内]世相編<3>表に出たセクハラ被害
      2018年1月4日5時0分

      ◇様々な「ハラスメント」認知の契機

       1989(平成1)年、国内で初めて「セクシュアル・ハラスメント(性的嫌がらせ)」を理由とした民事裁判が起こされた。裁判は注目を集め、この言葉は同年の新語・流行語大賞に選ばれた。

       「セクシュアル・ハラスメント」が最初に人生案内に登場したのは90(平成2)年。20歳の娘を持つ母親からの相談だった。

       〈結婚を控えた娘が勤め先に出勤するのを嫌がるようになりました。職場の30歳くらいの男性が「モーションをかけているのに気もつかん」などと言って体にすり寄ってきたり、腰のあたりを触ってきたりするそうです。担当部署の方に再々申し上げたのですが成果が上がらず、親子で苦しんでいます〉(大阪本社版)

       これに対して、回答者のジャーナリスト、末次攝子せつこさんが〈明らかにいま問題のセクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)〉と指摘し、地元の労働省婦人少年室に相談することを勧めている。セクハラという言葉がまだ周知されず、被害を受けた女性の泣き寝入りというケースもあったことが、このころの相談からうかがえる。

       〈入社まもない時から上司に体を触られていましたが、セクハラとは知らず、嫌な顔ができませんでした。その人は課長に昇進。今度は暴言です。女性社員は私一人。男性社員は見て見ぬふりです〉=40代会社員、93(平成5)年=。

       〈上司の性的嫌がらせに悩んでいます。「文句も言わず、会社も辞めないのだから、何をしても平気だ」という態度が許せません。押しのけることや手を払うことが精いっぱい。表ざたにしては会社にいづらくなってしまいます〉=24歳の女性会社員、96(平成8)年=。

       99(平成11)年の改正男女雇用機会均等法で、セクハラ防止対策をとることが事業主の「配慮義務」となった。

       2007(平成19)年の改正では、セクハラ防止は「措置義務」へと強化。就業規則への規定や労働者への啓発、セクハラが起きた場合の事実確認や紛争処理などが義務づけられるようになった。

       女性たちが声を上げるようになり、このころセクハラの相談件数が増えた。その後も被害を訴える声は続いている。

       〈社員旅行のバスで男性社員が、女性社員の胸や脚を話題にし、皆で大笑い。宴会では女性の下着を身に着けて走り回り、支店長に「下品だ」と伝えると、「何もしていないやつが盛り上げている人を否定するな」と激怒。宴会に浴衣で来なかったことまで怒られました>=女性、10(平成22)年=。

       セクハラをきっかけに、平成時代には、さまざまなハラスメントが新語として登場してきた。「パワハラ(職場などで地位などの力関係を背景にした嫌がらせ)」や「マタハラ(妊娠や出産に伴う女性への嫌がらせ)」などだ。人生案内では深刻な悩みが多く登場する。

       〈再就職先で上司から連日言葉の暴力を受け、2か月で退社しました。悔しさに涙する毎日で、食事ものどを通らないほど。すっかり自信をなくし、物事を前向きに考えられなくなっています〉=30代女性、04(平成16)年=。

       1992~97年に大阪本社版の人生案内で回答者を務めた心理カウンセラーで元お茶の水女子大教授の河野貴代美さん(78)は「当時、セクハラの相談に接し、深刻な問題だと感じた。平成時代を通じて、ハラスメントという言葉の認知度が高まり、隠蔽いんぺいされていた問題が顕在化してきたと思う。次の時代は、もう少し社会が成熟し、他者との適切な距離感を考えられるようになるといい」と話す。

      (辻本洋子)
      http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20180103-118-OYTPT50249

      削除
    3. [平成の人生案内]世相編<4>バブル崩壊 暮らしに異変

      2018年1月5日5時0分

       ◇土地や株で痛手、身の丈に合った消費へ

       平成は、バブル景気とともに幕を開けた。高騰する地価に浮足立つ姿は、人生案内にも反映されている。

       〈父が3年前に亡くなった時、父と同居していた未婚の妹に山林や畑の不動産を相続させ、姉と私は相続放棄をしました。ところが、その山林や畑が急激に値上がりしたことから、姉は自分の娘を妹の養子にして、財産を独り占めにする気でいます〉=男性、1989(平成1)年=。

       〈主人が義父から「土地の権利と管理を一切任せる」と言われました。すると、4年前に始めた畑仕事をぴたっとやめ、毎晩のように飲み歩き、外車に乗り、遊び回っています。こんな主人についていけません〉=36歳主婦、同年=。

       だが、92(平成4)年以降、地価は商業地、住宅地とも下落し、前年割れを続けた。バブル崩壊だ。

       <2年前、「今が底値」との言葉に乗せられ、よく検討もせずに中古マンションを購入しました。住んでみたら使い勝手が悪く、日当たりもよくありません。買い替えを考えましたが、価格は下がる一方で、それもできません〉=39歳主婦、95(平成7)年=。

       日経平均株価は、89(平成1)年12月29日の3万8915円87銭をピークに下降に転じた。多くの個人投資家が損失を抱えた。

       〈結婚を約束した50代の男性から「財テクで失敗した。お金を貸してほしい」と言われ、断り切れず用立てました。そのうえ、「結婚届を出すとあなた名義で借金できないから」と届けも出していません。不安定な生活は耐えられません>=40代後半の女性、92(平成4)年=。

       「財テク」は、財務テクノロジーを略した当時の流行語で、株などへの投資を指す。

       バブル崩壊後、長い不況が続いた。社会問題になったのが、中高年のリストラだった。家族関係もむしばまれていく。

       〈リストラで会社を辞めて1年半。ハローワークに行っても求人はなく、折り込み広告を見て応募しても面接止まり。でも、妻は事情をわかってくれず、「金の切れ目が縁の切れ目よ。とにかく何とかして」と半狂乱でわめくのです〉=50代男性、2002(平成14)年=。

       〈主人は自営業でしたが、バブルで仕事がダメになり、借金だけが残りました。それから毎日がケンカです〉=40歳主婦、1996(平成8)年=。

       ただ、この時代も、庶民はしたたかに生き抜いてきた。

       〈このまま我慢の生活をしていくのがよいか〉と相談してきたのは、2012(平成24)年の20代専業主婦。その節約術がすごい。

       〈5人家族の食費は月1万円、家で散髪し、子ども服は古着、幼児のミルクもサンプル品などを活用。お金はなるべく貯蓄に回して、結婚7年でマイホームを持つことができました〉

       経済ジャーナリストの荻原博子さんは「ファストファッションの服、LCC(格安航空会社)での旅行など、背伸びせず、身の丈に合った消費でいいと考える人が増えている」と話す。

       断捨離ブームなどもあり、物を持たない「ミニマリスト」という生活スタイルまで登場してきた。バブル崩壊後の長い景気低迷は、我々の人生観も変えたのかもしれない。(田渕英治)
      http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20180104-118-OYTPT50349

      削除
    4. [平成の人生案内]世相編<5>氷河期世代 過酷な就活
      2018年1月6日5時0分

       ◇「非正規」割合高く 結婚にも影響

       バブル崩壊後、雇用は悪化した。「就職氷河期」という言葉が流行語になったのが1994(平成6)年。

       〈大学4年の女子。就職活動をしていますが、片っ端から落ちています〉。95年の相談だ。相談者を傷つけたのが、親の言葉。〈お前が甘い。普通面接で落とされる訳がない〉。高度成長とバブル経済しか知らない親世代は、子どもたちの置かれている状況が理解できなかった。

       就職氷河期は長く続いた。大卒求人倍率が低下した93~2004年ごろに就職活動をした世代を「氷河期世代」と呼ぶ。おおむね1970~82年生まれが当たる。その後、雇用が回復したが、2008(平成20)年のリーマン・ショックで再び氷河期に。13(平成25)年ごろまで続いた。長い氷河期に、過酷な「就活」が当たり前になった。

       〈応募した企業は100社以上。面接までこぎつけてもすべて不採用。就職氷河期で、つらいのは自分だけではないことは承知しています。しかし、焦りと不安で何をどうしたらいいのかわからず、泣きたい気持ち〉=女子大生、10(平成22)年=。

       新規学卒者を一斉に採用するのが日本企業の慣行であるため、「卒業時の就活で失敗すると取り返しがつかない」というプレッシャーがのしかかる。

       〈就職活動がうまくいっていません。正社員になれなかったときのことも覚悟しなければならないと思います。不安定な身分で働きながら生きていくことになるでしょう。正社員になれなかったら、親類から陰口をたたかれたり、世の中から白い目で見られたりするのだろうかと、まだ起きてもいないことにおびえている始末です〉=20代女子大生、06(平成18)年=。

       実際に、就職がうまくいかず、親元で暮らしながらアルバイトをしたり、中にはひきこもりになるケースもあった。

       〈24歳の長男は2年前に大学を卒業しましたが、就職に失敗。職を探しながら短期のアルバイトを転々とするようになりました〉=50代女性、00(平成12)年=。

       〈大学4年の娘の就職活動がうまくいきません。大学にも行かず、自分の部屋にずっとこもっている状況です〉=40代女性、12(平成24)年=。

       就職できないと結婚もできないという心配も寄せられた。

       〈求職活動をしていますが、うまくいきません。いつかは何らかの仕事に腰を据えて、結婚に備えたいと考えています。でも中ぶらりんの状態が1年以上になると、焦りも出ます〉=19歳の無職男性、1994(平成6)年=。

       〈将来に対して何の希望も持てません。昨年、世間では難関と言われる大学を卒業しましたが、就職活動に失敗しました。いまだに無職です。このまま就職が決まらないまま結婚もできずに一生を終えるのかと思うと、情けなさと虚無感しかありません〉=20代後半女性、2014(平成26)年=。

       日本総研副主任研究員の下田裕介さん(38)の分析によると、「氷河期世代」は現在も、上の世代に比べて非正規雇用の割合が高く、とりわけ男性にその傾向が見られる。また、正規雇用されている人の所得も、上の世代がおなじ年齢層だったときほど伸びていない。

       「氷河期世代の消費は抑制的で、日本全体の個人消費の伸び悩みの原因となっている。結婚できない人が増え、人口減少につながった可能性もある。希望する人は正規雇用へ転換する仕組みをつくるなど、氷河期世代の就業、所得改善に官民を挙げて取り組むべきだ」。自身も氷河期世代に当たる下田さんは話す。(編集委員 斎藤雄介)
      http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20180105-118-OYTPT50385

      削除
    5. [平成の人生案内]世相編<6>ママ友との距離感に悩む
      2018年1月10日5時0分

      年齢差や仕事の有無・・・「母親」像の多様化

       2003(平成15)年、夫が転勤族という千葉県の女性は、「子育ての仲間がほしい」と相談を寄せた。

       <育児サークルに参加したり、娘の習い事に通ったりして、友達を増やそうとしています>という。しかし、会話はその場だけで終わってしまい、なかなか次につながらない。<友達作りにも疲れ、娘と二人きりで外出することも多くなりましたが、やはり仲間がほしいのです>

       05(平成17)年、小学生の娘がいる30代の主婦は、フルタイムで働いていたため近所に友人がいないのが悩み。<学校行事などで知っている人に声をかけるのですが、しばらくすると会話が続かなくなり、相手も気まずいのか、私の知らない人と話し始めます。その話にどう加わればいいのか思い浮かばなくなり、ひどく落ち込み、悲しいみじめな気持ちになるのです>

       「人生案内」の回答者を務める恵泉女学園大学学長の大日向雅美さん(発達心理学)は、「お母さんたちの子育てはとても孤独です」と指摘する。

       核家族化が進んだ昭和の頃から、母親の孤立は問題になっていたが、平成になって、さらに近所付き合いの機会が減った。読売新聞の記事データベースには、1995(平成7)年に「公園デビュー」、99(平成11)年には「ママ友」という言葉が登場した。2000(平成12)年頃には「密室育児」の記事が増えた。

       大日向さんは、「朝から晩までずっと赤ちゃんと二人きり。『大人と話したい』という、本当にささやかな希望からママ友がほしいと願うのでしょう」と話す。

       一方で、ママ友との付き合い方や距離感に悩む相談も増えている。

       <先日、彼女(ママ友)が子どもを連れ、泊まりがけで初めて家に遊びに来てくれました。断りもなく洗濯機やシャワーを使いました。私にだまって冷蔵庫を開けたり、買い置きのお菓子を食べたりしていました。帰り際「楽しかった。また来るね」と言われました。でも、もやもやとした気持ちが残ります>=30代女性、07(平成19)年=。

       <出産時の病院で知り合ったママ2人と親交を深めてきました。毎回我が家に集まり、昼ご飯も私が作ります。会う回数が増えるにつれ私だけが生活をさらけだしていることに不満を覚えるようになりました>=30代女性、05(平成17)年=。

       多くの母親へのインタビューをふまえ、「格付けしあう女たち」を著した少子化ジャーナリストの白河桃子さんは、「母親と一口にいっても、ライフスタイルはさまざま。適齢期という言葉は死語になり、母親像も多様化しました」と指摘する。

       平成の30年間に晩婚化が進み、11(平成23)年に第1子を産む平均年齢は30歳を超えた。育児休業を取って出産後も働き続ける人が増える一方、出産を機に仕事を辞める人もまだまだ少なくない。シングルマザーの割合も増加傾向だ。

       <子どもの行事で、周囲は若いお母さんばかり。浮いているのではないかと心配です>=30代主婦、10(平成22)年=。

       <ママ友達の中にも、私が働いていることを知ってから、あいさつを返してくれなくなった人がいます>=30代女性、12(平成24)年=。

       出産直後に離婚したという30代の女性は、<彼女(ママ友)たちが羨ましくなるのです。離婚のことは知らせていませんが、将来、私の子どもがいじめられるかもしれません。集まる時のカフェやランチ代を節約したいとも思います>=17(平成29)年=と、今後も付き合い続けるか悩んでいる。

       白河さんは、「母親同士だからといって価値観が同じとは限らない。一人の大人として、本当に気が合う人とだけ続いていくようになるのでは」と話す。(内田淑子)
      http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20180109-118-OYTPT50387

      削除
    6. [平成の人生案内]世相編<7>LGBTへの理解進む
      2018年1月11日5時0分

      ◇苦しみ越え、社会との関わり模索へ

       平成は、性的少数者に対する社会の理解が進んだ時代だ。LGBTという呼び方も広がった。しかし、平成の初め頃はまだ偏見が強かったともいえる。当時の人生案内にも、周囲に受け入れられない苦しみやあきらめの感情をストレートにつづった相談が目立つ。

       〈同性に興味を持つ人間であることをはっきり知ったのは20代の初めのころです。しかし、同性に自分の感情を告白したことは一度もありません。嫌われることを恐れたからです。私は独りぼっちです〉=60代男性、1990(平成2)年=。

       〈愛し合っている彼は、いずれ家業を継ぎ子供もつくらなければならない。彼は家を捨て僕と暮らすことを望んでいるが、別れたほうが彼のためなのでは〉=16歳男子高校生、94(平成6)年=。

       〈心と身体の性の差異に悩み暗い日々を過ごしてきた。日本では、私の抱える悩みは理解されません。将来はもっと苦しいだろうと考えると死にたくなる〉=18歳男子学生、2000(平成12)年=。

       1984(昭和59)年から2007(平成19)年まで回答者を務めた作家の落合恵子さんは、平成6年の男子高校生の相談にこう回答した。〈異性愛者が異性を愛するように、同性を愛する人がいる事実を、否定したり非難する権利はだれにもありません〉

       落合さんは「自分らしさを否定しなければならない社会の理不尽を、なんとかしたいという思いだった」と振り返る。

       性的少数者の悩みは現在も尽きない。ただ、最近の相談をみると、かつてのような自分を否定する内容は減った。自分らしさを受け入れ、社会との関わりを模索する姿勢が感じられる。

       〈付き合って1年半の男性と同居したいと考えている。いつか親が訪ねてきて、部屋を見れば誰かと一緒に住んでいることが分かってしまうでしょう。いっそ、引っ越す前に、恋人として紹介したい〉=30代男性、16(平成28)年=。

       〈生物学的には女性で心は男性。就職活動の準備中だが、エントリーシートの性別欄もリクルートスーツも男を選び、男として社会で生きていきたい。しかし、書類不備などにされないか不安〉=大学3年生、同=。

       〈好きな女性がいるが、これまでは世間の目と親の同性愛への偏見から言い出せずにいた。今、自分の気持ちを受け入れ幸せになりたいと思えるようになっています。性的少数者について正しく理解できたからです〉=20代女性、同=。

       こうした相談が出てきた背景には、社会の変化がある。性的少数者が生き生きと働ける職場作りを目指すNPO法人「虹色ダイバーシティ」理事の村木真紀さん(43)は、目に見える動きをいくつか挙げる。

       01(平成13)年秋から放映された人気ドラマ「3年B組金八先生」に性同一性障害の生徒が登場し話題に。03(平成15)年には、性同一性障害者に戸籍上の性別変更を認める法律が成立した。15(平成27)年に東京都渋谷区で同性カップルに証明書を発行する条例が施行されるなど、自治体の取り組みも広がりを見せている。同性カップルを結婚祝い金の支給対象としたり、エントリーシートから性別記入欄を廃止したりする企業も増えた。

       村木さんが、自分がレズビアンだとはっきり自覚したのは学生だった1992(平成4)年ごろ。「当時は自分の将来をまったく想像できなかった。あの頃に比べ社会の意識はかなり変わった」と話す。「多様性」や「調和」は東京五輪のテーマでもある。この変化は今後も続いていくだろう。(赤池泰斗)

           ◇

       LGBT L=レズビアン(女性を好きになる女性)、G=ゲイ(男性を好きになる男性)、B=バイセクシュアル(好きになる相手の性別を問わない人)、T=トランスジェンダー(身体的な性と心の性が一致しない人、性同一性障害は診断名)を組み合わせた言葉。性的少数者の総称の一つ。
      http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20180110-118-OYTPT50315

      削除
    7. [平成の人生案内]世相編<8>高齢化 介護が社会問題に
      2018年1月12日5時0分

       ◇施策進んでも家族に負担

       〈60代女性。長生きするのが怖くて仕方ない。子どもは自分の生活に精いっぱいで、介護はしてくれないだろう〉。2017(平成29)年、人生案内に寄せられた相談だ。

       「ついにこうした相談が来たかと思いました。長生きをリスクと感じる時代となったのです」。人生案内回答者の樋口恵子さん(85)は振り返る。高齢社会などについての評論活動を長く続けている。

       平成時代を特徴づけるのが高齢化だ。65歳以上の人口は全人口の3割近くまで上昇した。特に介護の問題は深刻で、相談も多い。平成初期は、家族による介護の限界を訴えるものが目立つ。

       〈90歳を超えた母を兄が引き取った。義姉が「部屋から出ないで」と言い、食事は別で、まるで犬みたいな扱い〉=女性、1992(平成4)年=。

       〈アルツハイマー病の祖母と同居。家族みんながイライラ。父は、祖母のほおが赤くなるまでぶつ。もう限界です〉=20歳女性、96(平成8)年=。

       2000(平成12)年は日本社会にとって、大きな節目となった。介護保険制度がスタートした。家族で担うのが当然とされた介護を社会で分かち合う。「隠れていた高齢者と介護の問題が可視化された。平成は、長く経済的に無策の時代と言われたが、介護保険や男女共同参画など重要な施策をそれなりに行った」と樋口さんは評価する。

       人生案内の回答も介護サービスを勧めるものが増える。〈身近な人が必ずしも最高の介護ができるとは限らない〉=00(平成12)年=、〈妻一人で支えきれるものではない。介護保険制度は各種サービスを提供している〉=09(平成21)年=。

       しかし制度ができても、それだけでは救われないのが介護の重さだ。

       〈父を5年、その後母を10年介護。介護による借金を返しながらやっとの生活。交際直前までいった女性もいたが、介護で踏み出せなかった〉=40代男性、10(平成22)年=。

       介護は長期化する傾向がうかがえる。担い手も変化した。息子の妻による介護は大きく減り、代わって実の息子、娘が増える。未婚できょうだいも少ないという世代が介護を担うようになった。

       介護を巡る問題は多様化した。人生案内への相談は、様々な介護の状況を網羅する。

       〈80代父母を介護。いっそ2人がいなくなればと恐ろしいことを考える〉=60代女性、14(平成26)年=。

       〈東京から、関西の施設に入所する母に会うための費用が生活を圧迫。母は「娘に捨てられた」と言っているらしい〉=60代主婦、07(平成19)年=。

       介護する方も高齢という「老々介護」は今後も深刻化しそうだ。「遠距離介護」の負担は肉体的にも、精神的にも、経済的にも大きい。

       〈祖母の介護で実家に縛られみじめ〉=20代女性、16(平成28)年=。

       〈介護と育児の苦労が重なる〉=30代主婦、06(平成18)年=。

       介護を担う若者や、介護と育児が重なる「ダブルケア」も新たな問題として注目されている。

       樋口さんは、介護一辺倒にならず、仕事や趣味、地域活動などを重視する「ながら介護」を勧める。介護される方は、外部サービスを嫌がらないなど「介護され上手」になることが重要という。

       高齢化は今後も進行する。「長生きへの嫌悪が広がることが心配」と樋口さん。「長生きが怖い」の相談にはこう回答した。

       「生きることへの憧れを胸に、若くして死んでいった人は大勢います。高齢まで生きることができた私たちは、老いを楽しげに生きる義務があると思います」(編集委員 伊藤剛寛)
      http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20180111-118-OYTPT50321

      削除
    8. [平成の人生案内]世相編<9>震災、凶悪事件安全神話の崩壊
      2018年1月13日5時0分

      ◇子どもが被害、母親の不安募る

       平成は「安全神話」が崩壊した時代だった。1995(平成7)年に阪神大震災、2011(平成23)年に東日本大震災が日本を襲った。阪神大震災と同年の地下鉄サリン事件や、神戸市の連続児童殺傷事件など、犯罪史上まれに見る凶悪事件も起こった。時代を反映し、不安の相談が多く寄せられた。

       <子どもより先に死ぬようなことがあったらと、心配の種は尽きません。最近は地震が来たらどうしようと考え、外出もできなくなりました>=1995(平成7)年=。阪神大震災の直後、千葉の30代主婦が被災地から遠く離れているにもかかわらず、つづった相談は、衝撃を物語る。

       こうした声は東日本大震災の「災後」にも目立つ。

       <いつ来るかわからない地震におびえています。夜に暗くなると心臓がドキドキして眠れません。どなたか「大きな地震など来ないですよ」と言ってほしいです>=60代女性、2014(平成26)年=。

       <大地震や環境破壊、大きな負債を抱えた日本の崩壊……。今の子どもたちに明るい未来なんてないと思います。「こんな世界に産んでしまってごめんね」と後悔するばかり>=5歳の娘がいる20代主婦、12(平成24)年=。

       東京女子大名誉教授の広瀬弘忠さん(災害・リスク心理学)は1992(平成4)年から、日本人の安全意識の調査を続けている。「社会に危険があっても自分だけは安全だという意識が強かったが、阪神大震災と地下鉄サリン事件が立て続けに起きた95年を境に崩れた。東日本大震災以降は不安はさらに強まり、今も続いている。ただ、適度に不安を持つことは危険への準備にもつながる」と指摘する。

       子どもが被害者になる事件も相次ぎ、母親たちから切実な声が寄せられた。

       神戸市連続児童殺傷事件が起きた97(平成9)年、1児を持つ24歳の母親からの相談。<世の中がどんどん悪質になり、善悪の判断がつかない人が増えていることに、自分の中でどう対処してよいのかわかりません。人が怖くなる毎日です>

       刑法犯の認知件数は2002(平成14)年、戦後最悪の約285万件を記録した。その後、減り続け、16(平成28)年には戦後初めて100万件を下回ったが、犯罪への不安の時代は続いている。

       <子どもの誘拐・殺人等の事件のたび、不安でたまりません。小学1年の娘にはしつこく一人では帰らないよう言い、子どもだけで遊ぶのもなるべくやめさせています>=30代主婦、05(平成17)年=。

       <あまりに悲惨な児童虐待事件が多く、子どもたちの苦しみを思って涙が出ます>=30代会社員女性、10(平成22)年=。

       東日本大震災で両親を亡くした50代主婦も16(平成28)年、悩みをつづった。<両親を捜索中、小さな子どもたちの遺体を見てしまい、今も心はボロボロです。震災後、孫が生まれ、命の尊さや子は宝だということをなおさら実感するからこそ、ニュースで子どもを殺したり傷付けたりする鬼のような人を見ると、憎くてたまりません。心のバランスを保つにはどうすればいいでしょうか>

       広瀬さんは語る。「かつて、人の命は地球より重いと誰もが信じることができたが、震災による多くの死を前に、その価値観が揺らいでいる。悲惨な犯罪の芽を摘むには、人と人が強く結び付き、命の尊さを教育の中で植え付けていくしかない」

       次の時代に引き継ぐべき大きな課題だ。(西内高志)

      (おわり)
      http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20180112-118-OYTPT50313

      削除
  38. [平成時代 継承]<2>左手一本 魂の音色 病に負けず ピアノの道
    2018年1月4日5時0分

     舞台袖に立ち、左の手のひらに文字を書く。

     〈音を楽しめ〉

     先月20日、奈良県生駒市のホール。いつもの儀式を終えると、岡田侑子(27)は舞台上のピアノに向かった。右手は膝に置き、左手だけを鍵盤けんばんに乗せる。

     曲は、ボルトキエヴィチ(1877~1952年)が左手だけで弾くために書いた「詩人」。ペダルを生かして響く低音に高音の旋律が重なり、独特の共鳴をもたらす。

     岡田を「左手のピアニスト」の道に導いた師から教わった曲だ。この曲が、絶望から救ってくれた。

         ◇

     1990年(平成2年)、生駒市で生まれた。4歳で始めたピアノは、そのまま生きがいになった。

     同志社女子大音楽学科に進み、「ピアノを人のために」と音楽療法士を志した。1日8時間の練習を重ねたピアノ漬けの生活はしかし、突然崩れた。

     大学2年だった2010年秋、右手が痛み、ふるえた。「局所性ジストニア」と診断されたのは、翌年の東日本大震災直後だった。「何もしてあげられへん」と医師に言われ、泣きながら家路についた。

     震災報道を見ながら「私の問題なんて大したことない」と自らに言い聞かせようとしたが、症状は悪化するばかり。「なんで私の右手なんや」。母の規陽子きよこ(53)は、ふだん弱音を吐かない娘のピアノ部屋から、鍵盤をたたきつける音が響いてきたことが忘れられない。

     転機は13年秋。「左手のピアニスト」智内威雄ちないたけお(41)との出会いだ。

     兵庫県西宮市であった智内のコンサートで、ボルトキエヴィチの「詩人」を初めて聴いた。左手向けの曲があることは知っていたが、その音色は岡田に別世界をもたらした。喜び、悲しみ、寂しさ――。客席で声を殺して泣いた。

     いてもたってもいられず、終演後の智内に「レッスンをお願いします」と頼むと、笑顔が返ってきた。「僕のやった方法を試そう」

         ◇

     智内は左手演奏のパイオニアとして知られ、現在は国内外で演奏会を開いている。しかし、その歩みは平坦へいたんではなかった。

     右手にジストニアを発症したのは、将来を嘱望され、独ハノーバー音楽大に留学していた01年1月頃だ。さらに不幸は重なった。同年9月の米同時テロ後、リハビリで長期休学していることを怪しまれ、独当局に強制退去を命じられたのだ。道を閉ざされる恐怖におびえた。

     教授や弁護士の働きかけで何とか滞在許可が出たが、このことがあって、「ピアノが弾けなくても、音楽家として身の証しを立てたい」との思いを強めた。そんな時、教授から「君はピアニストだろう」と告げられた。手渡されたのが、左手用の楽譜だった。

     第1次大戦後、戦争や病気で右手が使えなくなった人のための楽曲が多数作られたが、大半が埋もれていることを知った。「左手の曲を世に伝えるのが、僕の使命だ」

     両手に劣らぬ演奏を目指した。「片手で頑張っている」と同情で評価されたくはなかった。効率よく最大限の表現を生むため、関節や筋肉の動きを自ら研究。納得の演奏ができるまでに3年以上かかった。

     そして世界中の図書館や楽譜店などを巡り、これまで70曲以上の楽譜を発掘した。「かつての僕のように苦しんでいる人たちに、希望を伝えたい」。今年11月には自宅のある大阪府箕面市で、左手のピアニストの国際コンクールを開く。

         ◇

     岡田は月に1度、箕面市に通い、智内が惜しみなく伝えてくるテクニックを習得。音を楽しむ喜びを取り戻した。約1年前からは各地で演奏会を開く。

     今は智内とともに、左手用の教本を作る構想を練っている。大学院で負担のかからない手の動きを学び、音楽家の病やけがを防ぐ研究をしたいとも語る。「今は1日が48時間あればと思うくらい、やりたいことでいっぱい」。そのまなざしは未来を向いている。

    (敬称略、中川慎之介)

     ◆ジストニア

     体の動きを調節する脳の働きが変調を来し、意思に反して筋肉が収縮、硬直する病。「局所性」は指を酷使する音楽家やスポーツ選手に多く発症するとされる。根本的な治療法は確立されていない。

      日本人演奏家 世界中で活躍

     平成の日本クラシック音楽界では、世界で活躍する音楽家が目立った。

     上原彩子さん(37)が2002年(平成14年)、世界最高峰のチャイコフスキー国際コンクールピアノ部門で、日本人として初の1位となった。09年には全盲の辻井伸行さん(29)がバン・クライバーン国際ピアノコンクールで1位に。10年には、バイオリニストの樫本大進さん(38)がベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の第1コンサートマスターに就任した。

     「左手のピアニスト」としては、脳出血の後遺症のため左手で演奏する舘野泉さん(81)も知られる。
    http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20180104-118-OYTPT50156

    返信削除
  39. [平昌へ 期待のエース]4回転 異次元の滑り…スノーボード男子 ハーフパイプ 平野歩夢 19 (木下グループ)
    2018年1月4日5時0分

     平昌ピョンチャン五輪が、来月9日に幕を開ける。選手らの様々な思いが注がれる冬の祭典。決戦を前にした日本のエースたちの決意と胸中に迫る。

      大けが乗り越え 自信の大技

     1センチ打ち所がずれていたら亡くなっていたかもしれないぞ――。医師にそう言われるほどの大けがだった。

     昨年3月、米国での国際大会で縦2回転を組み込んだ最高難度の横4回転技に挑んだ際、着地に失敗し、氷の壁に全身を打ちつけた。左膝靱帯じんたい損傷に加えて肝臓も痛め、約2週間の安静を余儀なくされた。

     帰国後の5月には、肝臓は日常生活に支障がない程度まで回復した。しかし、左膝の自由が利かない。恐る恐るリハビリを始め、再びスノーボードに乗ったのは平昌五輪を8か月半後に控えた5月下旬だった。

     けがをして初めて、日常の生活と自信を失った。「常にスノーボードを履いて滑っていたので、自分の目の前に本来あるものがない感じだった。今までの行動を失ったような感覚。同時に自信が不安定になり、気持ちも弱くなった。すごく時間が長く感じました」

     9月、復帰戦となったニュージーランドでのワールドカップ(W杯)今季開幕戦で2位に入り、「感覚がちょっと戻ってきた」と一つ息を吐いた。そして、12月に米コロラド州カッパーマウンテンで行われたW杯第2戦。決勝1回目でトップに立ち、2回目に繰り出したのが、負傷した時と同じ4回転技だった。

     恐怖心は既になかった。「最初から優勝を狙って大会に臨んでいたから、攻めていこうと思っていた」。完璧な着地で勢いを加速させると、続けて3回転、3回転半の技を成功させ、五輪を2度制したショーン・ホワイト(米)らを突き放す高得点をマークした。

     だが、これで終わらせないのがエースの生き方だ。

     決勝3回目では連続の4回転技に臨み、会場の度肝を抜いた。二つ目の着地で尻をつき得点は伸ばせなかったものの、果敢に攻め続けてW杯通算2勝目を挙げた姿に、米国のファンから万雷の拍手が注がれた。

     「けがをして、挫折や気持ちの切り替えの難しさもあった。でも、本当に自分が目指すところを信じることでしか、自分を立て直すことができなかった。常に目指しているのは、ほかの選手が全開でパフォーマンスしても、それを上回れる圧倒的な滑り。やっと自分のスノーボードが帰ってきたなという感触がある」

     続く中国でのW杯第3戦では、第2戦を上回る高得点で2連勝を飾った。「当然、優勝を狙ってずっと練習してきた」という平昌に向け、圧倒的な滑りが金色の輝きを放ちつつある。(田中潤)

      スノーボード・ハーフパイプ

     管(パイプ)を半分に切ったようなU字形のコースを舞台に、左右の壁から飛び出す5~6回の空中技で総合的な得点を競う。4回転技は「1440」(360度×4、読み方はフォーティーンフォーティなど)と呼ばれ、体の方向や縦回転との組み合わせなどで様々な種類がある。

     ひらの・あゆむ 1998年生まれ。新潟県村上市出身。15歳で臨んだ2014年ソチ五輪で、雪上競技では世界歴代最年少のメダリストとなる銀メダルを獲得。W杯は13~14年シーズンに初優勝し、今季に2勝を挙げている。1メートル60、50キロ。
    http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20180104-118-OYTPT50020

    返信削除
  40. 社説
    日本経済再生 好況の今こそ改革を断行せよ 
    2018年1月15日6時0分

     ◆高齢化社会を成長につなげたい◆

     景気は堅調で、政権の基盤も安定している。今こそ、経済の構造改革を断行する好機だ。

     アベノミクスは6年目に入った。企業業績は過去最高水準に達し、株価はバブル期の1992年以来の高値を付けた。景気拡大は戦後2番目の長期に及ぶ。雇用状況を示す有効求人倍率は43年ぶりの高さだ。

     好調な海外経済が支えとなっている。日銀の異次元緩和をきっかけとする円安と、機動的な財政出動の効果も大きい。

     ◆需要を見込める環境に

     それでもなお、国民に景気拡大の実感は乏しい。賃金が思うように伸びない。消費者物価の上昇率も0%台にとどまる。

     問題は、企業が手元資金の活用に慎重姿勢を崩さないことだ。内部留保は5年前より100兆円超増えて406兆円に上る。

     背景には、将来への不安がある。国内市場が縮小する中で、各企業は、大胆な投資や大幅な賃上げに踏み切れずにいる。その背中を押すためには、確かな需要や収益を期待できる環境が必要だ。

     これから国内で間違いなく需要が増えていくのは、高齢化社会に対応する分野である。

     高齢者の日常生活や介護、医療を巡る課題は尽きない。その解決に向けた新製品やサービスのニーズは多岐にわたる。

     介護関連の機器や家事代行ビジネスなどの利用が広がってきた。家庭用ロボットと簡単な会話を楽しむ高齢者も珍しくない。

     政府は、関連分野の規制緩和を急ぐべきだ。世界に先駆けて高齢化が進み、「課題先進国」と呼ばれる日本ならではの経済成長モデルを作り上げたい。

     産業の現場では人手不足が深刻化している。日銀の調査では、不足感は92年以来の高水準だ。

     今後20~30年間、高齢化が一段と進む一方、働き手の中心になる生産年齢人口は減少が続く。この流れに柔軟に対応できる社会に転換しなければならない。

     ◆人手不足を好機とみる

     カギの一つは、眠る労働力を発掘し、活躍を促す施策だ。

     社会人向け教育を充実し、女性や高齢者の労働参加を高める。成長産業に転職しやすい雇用環境を整える。人工知能(AI)やロボットを効果的に活用する。こうした改革の加速が求められる。

     外国人材の積極的な活用も真剣に考える時ではないか。

     政府の統計によると、技術者・研究者などの専門家や技能実習生を合わせ、今でも100万人強の外国人が国内で働く。建設現場や外食産業などは外国人なしでは成り立たない一面もある。

     働きたい外国人と受け入れる社会の双方にメリットをもたらす就労ルールが課題となろう。

     安倍首相は春闘にあたり、産業界に3%の賃上げを求めた。個別企業の経営状況は異なるが、所得増は消費の喚起につながり、会社側にも利点が大きいはずだ。前向きに検討してもらいたい。

     ◆財布の紐を緩めるには

     日本経済の強みである高品質のモノづくりが揺らいでいる。有名企業で品質基準に関する不正が相次いで発覚した。一度失った信用は容易に取り戻せない。どの企業も人ごととせず、体制を再点検せねばなるまい。

     企業と同様、個人も将来不安を抱え、お金を貯ため込みがちだ。

     平均寿命が延び続けている。老後にいくらかかるのか。医療や介護の費用をどう確保するか。先々の見通しが立たなければ、財布の紐ひもが締まるのも無理はない。

     政府は、2020年度に基礎的財政収支を黒字化するという財政健全化目標を断念した。そもそも前提となる経済成長率が楽観的で現実離れしていた。

     政府は今年6月、目標時期を見直した新たな健全化計画を策定する。新計画は、実現可能性が厳しく問われる。税財政や社会保障、雇用関連の政策を総合的に進める堅実な工程表が必須だ。

     国の借金は1000兆円を超える。25年には団塊の世代が全て75歳以上となり、医療や介護の費用がさらに急増する。

     こうした社会保障費を賄うには、消費税率を19年10月に10%まで引き上げた後も、さらなる増税の検討が避けられない。

     国民に負担増への理解を求めるためにも、新計画は歳出にメリハリをつけ、最大限に費用対効果を高めることが重要である。

     日本経済の足元を固めるには、エネルギーの安定供給も欠かせない。政府や電力会社は、安全性が確認された原発の再稼働を円滑に進めることが大切だ。
    http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20180114-118-OYT1T50128

    返信削除
  41. 社説
    首相年頭会見 内外の課題に適切な対処を
    2020/01/07 05:00

     安倍首相が、三重県伊勢市で年頭の記者会見に臨んだ。直面する内政、外交の課題に的確に対処して、成果を上げなければならない。

     首相は社会保障制度改革について、「全ての世代が安心できる制度に改革する。これが本年最大のチャレンジだ」と述べた。

     深刻な少子高齢化に対応し、制度の持続可能性を高めることが重要だ。高齢者に偏ってきた給付を改め、現役世代の負担増を抑える見直しは避けられない。

     政府は通常国会に、厚生年金の適用対象をパート労働者らに広げる法案を提出する。非正規で働く人は、将来の低年金や無年金が心配される。厚生年金への加入で不安を和らげる意義は大きい。

     企業に70歳までの就業機会の確保を促す関連法案もある。社会保障の「支え手」を増やすための施策は、理にかなう。政府・与党は早期成立を図らねばならない。

     首相は憲法改正論議について「改正原案の策定を加速させたい」と述べた。与野党は衆参の憲法審査会を速やかに開催し、憲法の本質的な議論を始めるべきだ。

     首相は、東京五輪・パラリンピックの円滑な開催を目指す方針を強調した。世界的なイベントはテロやサイバー攻撃の標的となりやすい。政府と民間企業は協力し、万全の対策を取る必要がある。

     現行の日米安全保障条約は、間もなく締結から60年を迎える。首相は「日米同盟は今なお外交・安保政策の基盤だ」と強調した。

     米軍駐留経費の負担に関する日米間の特別協定の期限は、来年切れる。今年行われる改定交渉で、トランプ米政権が一層の負担増を求めてくるとの見方がある。

     日本が基地を提供することで、米国はアジア・太平洋地域で安保上、優位な立場を保っている。経済的な利益も享受していよう。政府は、そうした事実を米国に丁寧に訴えていくことが大切だ。

     米国とイランの対立激化で、緊迫の度を増している中東情勢には、細心の注意が要る。

     日本は原油輸入の約9割を中東に依存する。事態が悪化して輸入が滞れば、経済への影響は計り知れない。首相は「緊張緩和のため外交努力を尽くす」と語った。

     政府は海上自衛隊の部隊を中東に派遣する。護衛艦などがオマーン湾やアラビア海北部などで、情報収集任務にあたる予定だ。

     日本が、海上交通路の安全確保に貢献するのは当然だろう。海自は現地の情勢を見極め、円滑な活動を目指すべきである。
    https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20200106-OYT1T50246/

    返信削除
    返信
    1. 社説
      平和と繁栄をどう引き継ぐか…「変革」に挑む気概を失うまい
      2020/01/01 05:00

       半世紀の歩みを経て、日本で再び、五輪・パラリンピックを開催する年が明けた。自由で安定した社会を築き、「平和の祭典」を迎えられることを誇りに思う。

       自らの意志と力によって、困難や障害を乗り越えていく競技者たちのように、私たちも、さらなる繁栄に向けて前進する気概を新たにしたい。

       前回五輪の1964年、日本は先進国の仲間入りを果たした。高度成長で経済は拡大し、貿易や為替管理の自由化を進め、アジアで初めて経済協力開発機構(OECD)に加盟した。

       海外への観光旅行も解禁された。年1回、外貨の持ち出しは500ドルまでの制限付きだったが、「トリスを飲んでハワイへ行こう」と洋酒メーカーは3年も前から懸賞を募った。

       当時の日本は、戦後の焦土と荒廃した社会の中から奇跡的な復興を果たし、世界との距離を縮めて成長をつかみとろうとする国民的エネルギーにあふれていた。

      自信は勇気を生み出す

       あれから56年。国際情勢の変動や経済不況、大規模災害など幾多の試練を乗り越え、日本は今、長い歴史の中でみれば、まれにみる平和と繁栄を享受している。

       世界に大きな戦争の兆しはない。安倍首相の長期政権下で政治は安定している。諸外国が苦しむ政治、社会の深刻な分断やポピュリズムの蔓延まんえんもみられない。

       経済成長率は実質1%前後と低いが、景気は緩やかに拡大している。失業率は2%台で主要国の最低水準だ。治安は良い。健康、医療、衛生面の施策も整う。男女を合わせた国民の平均寿命は84歳と世界トップレベルにある。

       新たな時代へと始動するにあたり、起点とすべきは、多くの国々がうらやむ日本の総合的、相対的な「豊かさ」を正当に評価し、これまでの発展と政治や社会の対応力に自信を持つことである。

       先行きの問題を正確に把握することは最も重要だ。現状に困窮している人もいる。だが、「危機」ばかりが叫ばれ、不安や悲観が蔓延すれば、社会は活力を失う。自信は国民に安心をもたらし、変革に挑む勇気を生むだろう。

       国際政治や経済社会を支える構造は移り変わる。平和と繁栄を維持するには、政策の重点、企業や人々の意識も変えていかねばなるまい。現状に安住はできない。

       日本を取り巻く国際環境の最大の変化は、世界秩序を主導する負担に後ろ向きになった同盟国・米国と、経済、軍事の両面で台頭する隣国・中国との覇権争いだ。

       第1次世界大戦以降、米国は初めて、自国を経済力で上回るかもしれない国家と対峙たいじしている。

       米ソ冷戦と同様、米中対立は長期にわたって緊張と緩和を繰り返すだろう。だが、ソ連と異なり、米中は相互に最大の貿易相手国で直接投資も累積している。台湾、香港など火種はあるが、全面衝突には制御が利くのではないか。

      中国に率直にただせ

       日本は、日米同盟の役割と将来像について、米国と改めて認識を共有すべきだ。中国に、日米同盟は揺るがないと理解させ、国際的ルールの順守と日米欧との共存共栄を促していく必要がある。

       習近平国家主席の来日は、日中の対話を深める好機である。「互恵関係」とは、中国を批判しない、という意味ではない。問題があれば、率直にただせばよい。

       朝鮮半島情勢には、なお最大級の警戒が必要だ。北朝鮮は軍事挑発を続けている。局地的な軍事衝突の可能性は排除できない。日米同盟の抑止力は欠かせない。

       米国を世界秩序やアジア太平洋地域の平和と安定に建設的に関与させ、日本の国益を守ることが重要である。米国を説得し、核軍縮、通商、環境など様々な分野で多国間協調の再生に努めたい。

       国内においては、経済を成長させるための「変革」と、社会や民生の「安定」とを両立させる取り組みが、重要な課題となろう。

       成長の鍵は、世界に広がる「経済のデジタル化」への対応だ。

      イノベーションの時代

       高速・大容量で、遅れや途切れがほとんどなく、多くの機器を同時に接続できる次世代の通信規格「5G」の商用サービスが、日本でも今年始まる。

       車両、工作機械、医療機器、兵器など、あらゆる製品にセンサーをつけ、インターネット通信で遠隔制御する世界がいずれ来る。

       そこから膨大なデータを集めて人工知能(AI)で解析し、作業の効率化や、まるで違うビジネスに応用することも可能になる。

       変革は、情報通信業や金融業の領域を超え、すべての産業へ広がる。新たな活用法に先鞭せんべんをつけたものが勝者になる。だから米中は通信技術で覇権を争うのだ。

       日本も、技術研究をいち早く実用化するため、大学と企業の連携を質、量ともに拡充すべきだ。社会は何を求めるか。企業の方が察知が早い。大学の組織や人事の閉鎖性を変えねばならない。

       企業も「自前主義」での開発に固執せず、新興企業を含めた異業種、異分野の知恵と技術を幅広く組み合わせる「オープンイノベーション」を加速すべきだ。

       シュンペーターが定義した「イノベーション」という概念は、技術革新という狭い意味の訳語では本質をとらえきれない。

       新技術の発明に限らず、様々な生産要素や生産手段を従来とは異なる形で結合し、新たな商品や組織を創造して社会に変革を起こす、多様な試みを指す。私たちの身近にも変革の種はある。

       デジタル化で新たに加わった生産要素が、高速通信やAI、集積される膨大なデータである。

       中国は国家主導で競争力を高める。途上国にもデジタル経済は急速に広がる。後れはとれない。

       政府は、個人や企業から収集されるデータの公正な利活用や、国境をまたぐデジタル商行為への課税など、競争の土台となる国際的ルール作りを主導すべきだ。

       大量生産、大量雇用の工業化社会の時代は、生産や流通に多くの人間が携わり、利益は賃金などを通して広く社会に分配された。

       デジタル化し、AIやロボットが制御する省力化経済の社会では、新領域で知識やデータを握った勝者に利益が集中しがちだ。

       景気や物価の変動、所得分布や雇用の変化など、経済への正と負の影響を検証する必要がある。

      「働く機会」保障せよ

       社会の安定は、経済活動の基盤である。変革が社会に分断やひずみを広げる事態は防がねばならない。民間企業の創意を妨げている政府規制は取り除く一方、弊害を修正する政策も必要になろう。

       産業構造の変化で職種転換を余儀なくされたり、一時的に職を失ったりする人も出るだろう。政府は、デジタル化時代の人材育成を急ぎ、労働者の再教育や再就職の支援も強化すべきだ。

       企業も雇用の促進に配慮し、利益を報酬や配当、投資など様々な形で社会に公正に分配する姿勢が求められる。

       日本は急速な人口減少と高齢化が進む。老若男女問わず、働く意欲のある人ができるだけ長く働ける社会は、活力の礎となろう。官民挙げて創出すべきだ。

       経済や社会を支える働き手が増えれば、介護が必要な一人暮らしの高齢者といった真に困窮する人を支援する力も増す。老後や生活への不安を和らげていきたい。

       社会保障というセーフティーネット(安全網)は、あらゆる人が能力を発揮し、思い切って自己実現に挑戦できる、自由な社会を支えるためにある。

       「年金、医療、介護」にとどまらず、多くの人に「働く機会」を保障する政策をもっと重視すべきだ。子育てと仕事の両立、就職難に見舞われた世代の再挑戦、高齢者の就労などを、きめ細かく支援しなくてはならない。

       企業も意識改革を迫られる。自宅など場所や時間にとらわれずに働くテレワークの導入、再就職や企業の人材補強を容易にする中途採用の拡充、高齢者に適した仕事の創出を進め、人事・賃金制度も柔軟に見直してもらいたい。

      問題解決の道を歩もう

       以上のような施策を大胆かつ迅速に進め、長期にわたって成長を底上げする必要がある。

       ただ、国の財政は厳しい。債務残高は積み上がっている。大災害に備えたインフラ改修にも予算を投じねばならない。

       その一方で、民間企業には460兆円の内部留保がある。このうち現・預金が220兆円、5年間で50兆円も増えた。余剰資金を成長への投資に振り向けたい。

       さらに、家計が保有する現・預金は986兆円。株式などを含む金融資産全体では1864兆円ある。この「眠れる資金」を掘り起こして政策に活用できないか。重要な検討課題だ。社会保障や福祉、少子化対策に役立てたい。

       第2次大戦時の英首相チャーチルは「悲観主義者は、あらゆる好機の中に困難を見出みいだす。楽観主義者は、あらゆる困難の中に好機を見出す」という警句を残した。

       戦後日本は、変革を重ねて成長した。政治は福祉を充実させ、労使は協調し、社会の安定を保ってきた。1964年の五輪は、その一里塚だった。

       国民各層が知恵を出し合い、政治が適切な政策を実行すれば、次の時代もきっと、問題解決の道を歩んでいけるはずだ。
      https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20191231-OYT1T50136/

      削除
  42. 2020年は、「東京五輪」(2020 TOKYO)の準備と開催と後始末の年、ほかに何も起こらなければね…

    大地震、台風、自然災害…

    返信削除